出版社内容情報
南北朝の動乱の時代を活写した『太平記』。その記述のなかにどのように史実が映し出されているのかを読み解く。後醍醐天皇をはじめ、足利尊氏、新田義貞、楠木正成など、多彩な人物たちの人間ドラマに迫る。
内容説明
南北朝期の大規模な動乱の時代を活写した『太平記』。一連の軍記物語は創作を含めた物語として仕立てられているが、これを文学ではなく、歴史の史料として見るとどうなるか。南北朝史研究の第一人者が、『太平記』の叙述のなかに、どのように史実が描し出されているのかを読み解く。動乱期を縦横に駆け巡った後醍醐天皇や足利尊氏・直義兄弟、新田義貞、楠木正成などの多彩な人物たちの生きざまと、歴史的役割を明らかにする!
目次
第1章 傍系たちの反逆
第2章 建武新政の人間模様
第3章 足利尊氏
第4章 南朝を支えた人々
第5章 室町幕府支配の確立
付論 『太平記』の基礎知識
著者等紹介
森茂暁[モリシゲアキ]
1949年、長崎県生まれ。九州大学大学院博士課程中退。現在、福岡大学教授。文学博士(1985年九州大学)。日本中世史専攻(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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takam
14
太平記を読む前にこの本に出合っていてよかった。恐らく太平記に体当たりしていたら後悔していただろう。それくらい太平記は難しい本だということをこの本から学ぶことができた。登場人物の多さや当時の価値観や情勢が分かっていないと現代人には読めないなと思ったことがこの本の収穫である。2020/07/27
さこちゃん
9
鎌倉から室町への繋がりがよく分かっていないので、その時代の本を探したのですが、これというのがなく何とか見つけた本。太平記をベースにほぼ人物紹介なので、時が行ったり来たりで難しかった。でもなんとなく分かった。いつの時代も権力者は死と隣り合わせ。それも若くして死んじゃうのね。2022/12/13
Kamabonz
9
太平記に登場する人物について、太平記の記述と史実を対比させているのですが、書かれた当時の政治状況が反映されている面もあり、登場人物達のイメージがちょっと改まりました。もはや武家の政治的優位が動かし難いところまで行ってしまったのは、この時代で、後醍醐天皇そのものが引導を渡した人物だったというのは、なんとも皮肉な話ですね。2015/10/14
鯖
8
先日吉野を訪れたところ、神社の主祭神が軒並み後醍醐帝で釈然とせず、如意輪寺で楠木正行の辞世の句、吉水神社で護良親王の陣羽織を見た辺りで「…これはやばい」となり、近所のツ○ヤに大河の太平記があることに気づいてしまい、吉川英治の太平記を発掘し、…南北朝にハマる前の準備運動として読みました。泥沼のような時代を人物紹介でつなぐことで、分かりやすく掴むことができました。大河の太平記の1話を再見しての感想:「みんな若い!!みんな生きてる!!!」…鬼籍に入られた方の多いことよ。底なし沼にどっぷりはまろうと思います。2014/01/22
keint
7
太平記に登場する人物を解説している。本編のテキストを他の文献と比較して史実での活動や人物像に迫っているため太平記の脚色された部分が分かりやすく感じた。また自分の南北朝理解が南朝側に片寄っており、北朝や室町幕府についての知識補充が必要だと実感した。2020/04/20