出版社内容情報
待望の現代語訳が付き新版として生まれ変わった『万葉集』四分冊の第一巻。全首を歌群ごとに分けて現代語訳を付し、新版として見やすく生まれ変わった伊藤博訳注角川ソフィア文庫版の万葉集が四分冊で装いも新たに登場!まさに故博士の最後の仕事となった渾身の一書。一では巻一?五を収載。
伊藤 博[イトウ ハク]
著・文・その他
内容説明
『万葉集』全20巻4500余首の歌からは、古の人々の息づかいが聞こえる。日々を真摯に生きる彼らの姿は、1300年余りの時を超え、人の営みが不変であることを私たちに教えてくれる―。4分冊第1巻の本書では、『万葉集』の母体をなす古歌巻の巻1と2、対する古今歌巻の巻3と4、今歌巻の巻5を収載。そして新版最大の特徴は、歌群ごとに付した現代語訳。前後の歌とともに歌群として味わうことでより深い鑑賞が得られる。
目次
万葉集 巻第1(雑歌)
万葉集 巻第2(相聞;挽歌)
万葉集 巻第3(雑歌;譬喩歌;挽歌)
万葉集 巻第4(相聞)
万葉集 巻第5(雑歌)
著者等紹介
伊藤博[イトウハク]
1925年長野県生まれ。京都大学文学部卒。文学博士。万葉学の第一人者。2003年10月6日没(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
テツ
25
人は時代を問わず身分を問わず、己の見た世界を、己の心のうちを外側に曝け出したくなる。誰かに共感したい。誰かに共感されたい。この世界を感じ、その只中で生きているのは自分だけではないと確認することの安心感。和歌だろうとSNSだろうと人間が他人と世界を共有したいという思いは変わらないんだろうなと思う。僕たちは繋がっていたい。言葉と文字という発明は時間を超えて、出会う筈のない人間が曝け出したモノを教えてくれる。2018/12/26
みのくま
9
万葉集は、政争に敗れた近江朝(天智・大友・志貴ら)や非持統系の皇子達(高市・大津・長屋王ら)、大伴氏(旅人・家持ら)への鎮魂の書である。近江朝は額田王、皇子達は柿本人麿、大伴氏は旅人・家持本人と山上憶良が代表的な歌人として挙げられるだろう。彼らは御霊が鎮まるよう言霊を練り上げ、「恋」というキーワードから多くの情念を引き出した。万葉集で語られる「恋」とは性愛だけではなく、親しみ、儚さ、哀しみ、懐かしさ、そして怒りも含まれている。そして人麿や憶良は自身の魂と肉体をもって鎮魂を行った。鬼気迫る最古の歌集なのだ。2020/08/10
更紗
5
日本最古の歌集。文化も生活も、今とは違うけれど、心だけは変わることなく、他人を愛し、死を悲しみ、自然の美しさを賞賛している、生き生きとした感情が、短い言葉の中にぎゅっと詰め込まれています。 2011/12/30
bouhito
4
学生時代に日本思想を専攻していたのに通読したことがなく、いまさら手に取りました。大伴旅人は讃酒歌だけを読むと、えらい酒飲みの面倒くさい上司のようで、そりゃあ山上憶良も「ほな帰らしていただきます」と宴を罷る歌を詠みたくもなるという感じなのですが、「世の中は空しきものと知る時しいよよますます悲しかりけり」と詠む旅人は、身内に多く不幸があった人で、単なる飲んだくれの享楽主義者ではないようです。むしろ、そんな旅人の前で「子どもが待ってるので帰ります」と言っちゃう憶良のほうが空気の読めない中間管理職かもしれません。2015/06/28
tetuneco
3
読みづらい。学生のときに、もっとちゃんと触れておけば良かった。2014/01/17