内容説明
四国霊場の札所は、海の神を拝む霊地であり、修行者たちは、霊地を巡礼して超人的な霊力をそなえようとした。弘法大師も室戸岬の霊場で記憶力増大の行をしていたという。札所めぐりから、さらに歴史的変遷、宗教的来歴へと探索する。下巻では、1番札所霊山寺から38番札所金剛福寺までと、87番札所長尾寺・88番札所大窪寺の、主に紀伊水道・太平洋側の札所をめぐる。日本宗教史の新たな視野を広げた名著。
目次
第14講 長尾寺、大窪寺、霊山寺
第15講 極楽寺、金泉寺、大日寺、地蔵寺、安楽寺
第16講 十楽寺、熊谷寺、法輪寺、切幡寺、藤井寺
第17講 焼山寺、大日寺、常楽寺、国分寺
第18講 観音寺、井戸寺、恩山寺、立江寺
第19講 鶴林寺、太龍寺、平等寺、薬王寺
第20講 途中の霊場、水大師、鯖大師、薬王寺奥の院、室戸
第21講 最御崎寺、津照寺、金剛頂寺、神峯寺
第22講 大日寺、国分寺、善楽寺、竹林寺、禅師峰寺
第23講 雪蹊寺、種間寺、清滝寺、青龍寺
第24講 岩本寺、金剛福寺
著者等紹介
五来重[ゴライシゲル]
1908年、茨城県生まれ。東京帝国大学文学部印度哲学科を卒業後、京都帝国大学文学部史学科に再入学。高野山大学教授、大谷大学教授を歴任。大谷大学名誉教授。文学博士。専攻は仏教民俗学。93年12月没(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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saga
30
四国遍路に興味を抱き「行ってみたい」と思うようになったのは、ミーハーながら水曜どうでしょうがきっかけだ。行く! となれば下調べをしてからと思う自分は、当然のことながらガイドブックも買ったが、宮田珠己氏の紀行エッセイから五来氏の著した本書を読むという遠回りな調査を行っている。著者の語り口調は自身の研究に裏付けられた断定調で、言い過ぎな感がなくもないが、むしろ気持ち良いものだ。札所1番からのありふれた解説本と違い、海洋宗教の観点から進められたのも良し。さて、私と家族の悩みを雲散霧消できるような遍路に赴きたい。2014/05/19
秋乃みかく
4
★★★★☆ 色々と新たな視点で四国遍路を学ぶことができて面白かった!奥の院ってそういうことだったのかとこの本を読んで初めて理解できた。またいつかお遍路する時には再読してお寺を巡ってみたいと思いました(^^)2015/07/07
きむら
1
四国遍路における各霊場の成り立ちや背景を知ることができる、五来重氏の解説本の下巻。上巻と共に、二ヶ月間の歩き遍路を終えた後に拝読。実際の霊場の地形を思い浮かべつつ読むと、確かに納得できる事柄が多い。逆に、実際の寺を知らない人にはやや退屈な本なのではないかと思う。重複している文章も多々あるし、また多少強引と感じる部分もあったりするので。2011/08/13