内容説明
女性たちを住まわせるために豪奢な屋敷六条院を造った光源氏は、兄の懇願によってやむなくその娘(女三の宮)を正妻に迎えることにした。しかし、六条院の蹴鞠の会で青年柏木が女三の宮に一目惚れし、二人の間に不義の子・薫が生まれる。光源氏はすべてを知りながらも胸のうちにとどめるが、やがて柏木と女三の宮は自らの罪の意識に押し潰される―。本巻には「藤袴」から「総角」を収録。梶田半古の挿画入り。
著者等紹介
与謝野晶子[ヨサノアキコ]
1878年、大阪府堺市生まれ。大恋愛の末に与謝野鉄幹と結婚。文芸美術雑誌『明星』で活躍し、第一歌集『みだれ髪』で一躍、情熱的な歌人として著名となる。その後、小説、随筆、評論、童話、戯曲など多岐にわたり活躍。教育活動にも熱心に取り組んだ。『源氏物語』は、幼少時代からの愛読書で、「新訳」のほか、「講義」(焼失)「全訳」と3度も訳業を手掛けている。1942年没(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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花乃雪音
16
「藤袴」から「総角」まで収録。上巻では光源氏の栄華を描き中巻では喪失と死を描いている。そして話は光源氏の子、薫へ主役が交代する。上巻を読んでいた時も思ったがあっさりとした表現という印象が否めない。2021/10/22
chieeee-
9
主要人物がどんどんと亡くなっていく巻です。正直次々に人が亡くなるので、途中から着いていけてないです…。若い頃の源氏物語の方が読んでいるのは楽ですが、人の嫌な所などはこちらの方がよく描かれています。ただ、私の場合は、読んでいてもなかなか頭に入ってこずに苦労しました。2022/11/05
Rika
5
どうしても至高の谷崎潤一郎訳と比べてしまいます。全54帖のうち最も好きなのは、紫の上が亡くなる「御法(みのり)」と、残された源氏を描いた「まぼろし」ですが、与謝野晶子訳では思いのほかあっさり描かれていて、物足りなく感じました。谷崎潤一郎訳では、源氏と紫の上の心情が溢れるように伝わってきて、思わず泣きそうになったけれど、今回はそういうこともありませんでした。日本語のたおやかな美しさという点では、谷崎潤一郎訳のほうが数段上だと思います。読みにくくても、難しくても、私は谷崎潤一郎訳が好きです。付箋188枚。2014/12/10
kyouikufs
5
主人公が交代します。というより、源氏物語は語り手が頻繁に変わるので、読み手によって、感じ方が全く違うのでしょう。源氏が死に、王朝の雰囲気が変わります。もちろん地味になっているように見えますが、心理描写は、源氏時代にも劣りません。2013/11/23
hachiro86
1
前半の絢爛が、後半の落ち着きに収束していく2008/07/20