出版社内容情報
古来、日本人は未知のものに対する恐れを異界の物語に託してきた。酒呑童子伝説、浦嶋伝説、七夕伝説、義経の「虎の巻」など、さまざまな異界の物語を絵巻から読み解き、日本人の隠された精神生活に迫る。
内容説明
古来、私たちは未知のものへの恐れを、物語に託し、語り伝えてきた。日常の向こう側に広がる「異界」では、陰陽師・安倍晴明が悪霊たちと戦い、狐は美女に姿を変え、時期の流れさえ歪む。源義経の「虎の巻」、大江山の鬼退治伝説、浦嶋太郎の龍宮伝説、俵藤太伝説、七夕伝説…。いまも語り継がれる絵巻に描かれた異界物語を読み解きながら、日本人の隠された精神性に迫る。妖怪研究の第一人者による「異界論」の決定版。
目次
異界をめぐる想像力
反魂の秘術―『長谷雄草紙絵巻』
源頼光と酒呑童子―『大江山絵詞』
妖狐の陰謀―『玉藻前草紙絵巻』
龍宮からの贈り物―『俵藤太絵巻』
龍宮の逆説―『浦嶋明神縁起絵巻』
天界への通路―『天稚彦草子絵巻』
義経の「虎の巻」―『御曹子島渡』
天狗と護法童子―『是害房絵詞』
狐の「浄土」と異類婚姻―『狐草紙絵巻』
百鬼夜行のパレード―『付喪神絵巻』
幽霊の近世―『死霊解説物語聞書』
異界観の変容と妖怪文化の娯楽化
著者等紹介
小松和彦[コマツカズヒコ]
1947年、東京都生まれ。国際日本文化研究センター所長。埼玉大学教養学部教養学科卒業、東京都立大学大学院社会科学研究科(社会人類学)博士課程修了。専攻は文化人類学・民俗学。2013年、紫綬褒章受章(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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