出版社内容情報
日本の妖怪文化とは何か? 鬼・憑物・天狗・山姥・幽霊・河童から探る。
河童・鬼・天狗・山姥――。妖怪はなぜ絵巻や物語に描かれ、どのように再生産され続けたのか。豊かな妖怪文化を築いてきた日本人の想像力と精神性を明らかにする、妖怪・怪異研究の第一人者初めての入門書。
内容説明
憑きもの・河童・鬼・天狗・山姥・幽霊・異人―。太古の昔から、日本人は妖怪や迷信とともに生き、不安や恐れ、神秘感といった思いを共有して文化をかたちづくってきた。絵巻や物語に残された異形・異類・異界のものたちは、どのように描かれ、なぜ再生産され続けたのか。その歴史をたんねんにたどり、豊かな妖怪文化を築いてきた日本人の想像力と精神性を明らかにする。妖怪・怪異研究の第一人者によるはじめての入門書。
目次
1 妖怪文化への招待(妖怪文化とはなにか;時代と文化を超える「妖怪」)
2 妖怪文化研究の足跡(憑きもの;妖怪;河童;鬼;天狗と山姥;幽霊;異人・生贄;境界)
著者等紹介
小松和彦[コマツカズヒコ]
1947年、東京都生まれ。国際日本文化研究センター所長。埼玉大学教養学部教養学科卒業、東京都立大学大学院社会科学研究科(社会人類学)博士課程修了。専攻は文化人類学・民俗学(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
yamatoshiuruhashi
40
読友さんのレビューで知った本。「妖怪」と言う概念は、①不可解、不可知の現象、②人智を超えた超自然的な存在、③絵や石、像など造形化たされたこで認識されるもの、の三つの「意味領域」にて存在する。なんて言う序章から、痺れちゃいました。妖怪なんてものを真面目に捉える態度。飽くまで生真面目に、フィールドワークを踏まえて論じらている本書に、水木しげる、京極夏彦なんて名前も出てくる。こんなワクワク感はちょっと他にはありませんね。私の本棚の宝物、柳田國男、折口信夫大先生と水木しげる先生は相並ぶ巨頭だったのですね。最高。2019/05/31
優希
35
妖怪の入門には最適なのかもしれませんが、それでもちょっとわかりにくかったです。かつてから日本人は怪異や迷信と共に歩んできた歴史があるので、何故それらが続いてきたのか考えずにはいられませんでした。絵画や物語に何故異形のものが存在しているのか興味深く追及しています。日本独特とも言える妖怪は、先人の想像力と不思議な自然現象、霊の力を信じたからこそ生まれてきたものなのかもしれませんね。2014/07/24
テツ
18
妖怪の定義。妖怪の発生。小学生が自由研究の題材として読むにはちょっと難易度が高いかもしれない。森羅万象の大いなる力に人格を見出し擬人化し生まれた妖怪もいれば、描かれた絵が先行しキャラクターとして誕生した妖怪もいる。夜になっても明るく闇が駆逐されつつある現代にだって、新たに生まれる妖怪(怪異や都市伝説も含めつつ)だって存在する。人間が存在する限り、人間が想像力をもって世界を見つめ、何の意味もない部分に人格を幻視する限り妖怪が絶滅することはない。2019/08/04
ゆきこ
17
妖怪文化の歴史、妖怪の定義、これまでの妖怪研究の成果と問題点などなど、幅広い範囲で妖怪文化を解説している一冊です。参考文献もたくさん紹介されていて、まさに「入門」に最適な内容でした。著者の妖怪研究に対する熱意がすごく伝わってきました。「異人・生贄」「境界」の分野が特に興味深く、もっと勉強したいと思いました。2018/03/31
翡翠
14
なかなかに読みにくい本でした。民俗学における妖怪の定義や今までに発表された論文等、妖怪を学術的に研究した歴史の説明です。河童や天狗等、ある特定の妖怪に関する記述もあり、妖怪好きの方には興味が尽きない内容。参考文献も豊富。ゆるーく妖怪を楽しみたい人には不向きかな。2022/02/25