出版社内容情報
鈴木 大拙[スズキ ダイセツ]
著・文・その他
内容説明
禅とは、どのようなものなのか。禅の究極の問いともいえる難題に、鈴木大拙がわかりやすい言葉で応える名著。初心者にも理解しやすいように、宗教、仏教、そして禅へと、その考え方を解き明かしながら、禅の本質に迫っていく。大拙自身の禅経験を通して、読者を禅に向き合わせ、本格的な禅の世界へと誘う本書は、禅の初心者、修行者を問わず、最善の禅入門書として定評がある。
目次
第1回 宗教経験としての禅(宗教経験とは何か;何を仏教生活というか;仏教の基本的諸概念;証三菩提を目的とする禅;心理学から見た禅)
第2回 仏教における禅の位置(宗教経験の諸要素;宗教経験の諸型;宗教としての仏教;楞伽経大意(主として本経と禅宗との史的および内容的関係)
神秘主義としての禅)
著者等紹介
鈴木大拙[スズキダイセツ]
本名、貞太郎。1870年、金沢市生まれ。東京帝国大学在学中に、円覚寺にて参禅し、大拙の道号を受ける。97年、渡米。『禅と日本文化』(英文)を発表。帰国後、学習院、東京帝国大学、大谷大学で教鞭を執るほか、英文雑誌を創刊し、海外に仏教や禅思想を発信した。1936年、世界信仰大会に日本代表として出席。イギリス、アメリカの諸大学で教壇に立った。66年、没(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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chantal(シャンタール)
80
週末の仏教ツアーの興奮冷めやらぬうちにこちらを。大拙氏が昭和2~3年に行った講義を本にしたもの。すでに90年前の内容、もはや歴史😱 禅とは何か?もそうだが、仏教の歴史や解釈にもかなり紙面を割いており、線だらけで、何をどうまとめてレビューを上げればいいか分からない😅 真宗との比較が多くなされていたが、大谷大学で教鞭を取っていた事もあるので、真宗に対する理解もかなり深い。違いは多々あるが、「根は一つ」と言うこの考えが仏教の良さ。仏が与えてくれる薬は一つ、それを自分がどう飲むか?今後の私の課題である。2020/10/28
とも
53
難しくて時間をかけて読んだが、あまり理解出来なかった。何冊か鈴木大拙さんの本を読んで、禅についてもう少し学んで行こう。2024/05/14
Y2K☮
48
あらゆる不満の根源。それはなりたい自分と現実の齟齬。ある段階までは知識と論理が不可欠。そこを超えたら、あえてそれらから離れてみる=直観を信じる。悟りとは非論理的なもの。今に即して悟り続ける現在進行形であり、個人的な気づき或いは体験を要する。だが己だけ悟って満足ではなく、それを社会や世のためにと願うのが人の性。実際に役に立ったか否かを決めるのは第三者。それを分かっていれば傲慢に非ず。温故知新。見方や捉え方を変えるだけで新奇な創造の可能性。科特隊が限界まで戦って初めてウルトラマンが助けに来る=正しい他力本願。2017/04/11
イプシロン
42
アメリカに禅を伝え、西洋と東洋思想の合一を目指したダイセツ・スズキの著作だけに視点がまずもって広大無辺である。空間的スパンはもちろん時間的スパンをも見据え、超宗派的世界宗教の一員であり一人という宗教人としての誇りは実に気高い。でありながら、仏教の基本中の基本は絶対に外さない精緻な思考力と弁論力のなんと素晴らしいこと。相対的である、神秘と知性、慈と悲、主観と客観、自力と他力、心情と行為、そして正と邪、善と悪をそれぞれ詳細に語りつつも、相対的な事柄への理想は「中庸」であるべきことを一貫して語っているのだから。2019/09/28
Y2K☮
32
前回よりは咀嚼できた。サリンジャーの誤りに気付き、ジョブズも禅を学んだと納得。主観と客観、新と古、個人的体験と社会生活の狭間。禅とはいずれかに偏らず、常に中道を模索し続ける姿勢なのか。伝統を重んじ、でも時代の変遷を無視して言葉や上辺の形式だけを受け継ぐ行為を戒める。だがたとえば子供が相手の場合は意味度外視でとにかく形から入らせる必要もあるわけで、そこもバランス。この辺の機微を上手く表現で伝えられないのは分かっていないから。と同時に分かっていないという自覚こそ実は分かっている証でもある。日々修業。又読もう。2019/02/19