出版社内容情報
鷲田 清一[ワシダ キヨカズ]
著・文・その他
芦澤 泰偉[アシザワ タイイ]
著・文・その他/イラスト
内容説明
ひとは他者とのインターディペンデンス(相互依存)でなりたっている。「わたし」の生も死も、在ることの理由も、そのつながりのなかにある。核家族化で社会に包摂される「家族」、コミュニケーションの非在と「わたしたち」の居場所。確かなことは何もわからない、価値の遠近法が崩れた現代社会のなかで、日常の隙間に生じる違和感を育て、答えの見えない「問い」と向き合いつづける。語りきれず、噛みきれない想いを紡ぐ、珠玉の哲学エッセイ。
目次
1 問い
2 行ない
3 間合い
4 違い
5 養い
6 囲い
7 佇まい
8 迷い
著者等紹介
鷲田清一[ワシダキヨカズ]
1949年、京都生まれ。京都大学大学院文学研究科博士課程修了。関西大学文学部教授、大阪大学大学院文学研究科教授、同研究科長・文学部長、同大学理事・副学長、同大学総長をへて、現在、大谷大学文学部教授。専攻は哲学・倫理学。著書に、『「ぐずぐず」の理由』(読売文学賞)『モードの迷宮』(サントリー学芸賞)『「聴く」ことの力』(桑原武夫学芸賞)など、多数(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
takam
25
高校の教科書を思い出す鷲田清一先生のエッセイ集。タイトルは星の王子さまの名セリフと似ている。大切なものは見えにくいということを身に持って知る。特に日本人は見えやすいものを信じる特性がある気がする。モノづくりが強かくて、マーケティングやイノベーションといった見えにくいものが弱かったのは偶然ではないのだと思う。今は見えやすいものばかりを重視している気がする。不祥事・スキャンダル発生時のネットを見ると、弱いものを叩けといわんばかりである。見えやすい構造から善悪を決めて、同じ方向に進む姿はたまに怖さを感じる。2020/02/18
万葉語り
25
論理的で分かりやすく、知りたいことにこたえてくれるという意味でこの人以上の人は現在いないように思う。うなずきながら読んでいる自分を発見できる。2014/10/02
Kiro
14
ちびちび読み進めて今日読了。高次元で形而上学的な内容なんかでは全然なくて、僕たちの日々の中にある、あるとは分かっているんだけど、言葉にできないような、していないような感覚が言葉にされているような感覚。吉田篤弘さんの小説に似ているかもしれない。似ていないかもしれない。どっちだ?2021/02/19
ヒダン
14
新聞の小欄で覚えた名前だったので読んでみた。とても短い随筆集。著者は哲学者だけど、昨日こういう出来事があったんだろうなとかこういうニュース見たんだろうなとかありふれた出発点から始まる普通の文章が並ぶ。それでいて、ほうほうと思うところがある話になっているので流石だと思った。教育やケアなど著者が興味を抱いていたと思われるトピックは複数回取り上げられ、広く論じてある。付箋を貼り過ぎないように意識して「受け身でいること」、「イメージと妄想」、「患者様」の3箇所に貼った。単行本『噛みきれない想い』の文庫化。2015/09/28
oooともろー
8
哲学エッセイ集。この時は鷲田さんがまだ50代前半。今の私より年下ということに驚く。待つことの大切さ。身体。味わいたい。2024/04/11