出版社内容情報
佐野 大介[サノ ダイスケ]
著・文・その他
内容説明
四書のひとつに数えられ、人道的な教えを説く儒教の必読書である『孟子』。性善説・四端説などの人間論、王道論・井田制などの政治思想は現代にも通じ、「五十歩百歩」「私淑」ほか、故事成語の宝庫として、教科書でも親しまれてきた。多く諸侯との対話や他の思想家との議論で構成されたその内容は、巧みな弁論術も読みどころのひとつ。重要な思想を含む代表的な章を精選し、総ルビの読みやすい本文と簡潔な解説で楽しむ入門書。
目次
梁恵王上
梁恵王下
公孫丑上
公孫丑下
滕文公上
滕文公下
離婁上
離婁下
万章上
万章下
告子上
告子下
尽心上
尽心下
著者等紹介
佐野大介[サノダイスケ]
1973年生まれ。大阪大学大学院文学研究科修了。博士(文学)。大阪大学文学部助手を経て、台湾の明道大学応用日語学系助理教授。専攻は中国思想史、日本思想史。中国および日本における「孝」思想の研究のほか、近世大坂の漢字塾である懐徳堂についても研究している(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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- 評価
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
うえぽん
47
孟子7編のうち51章を選んだ入門書。人の善性は天が先天的に賦与したもので、その性質は惻隠、羞悪、辞譲、是非の四端の形を取るとし、悪は環境によって生じるとする。革命(王朝交替)是認論、君主廃立可能論、民本主義的思想も表れ、孟子が君主より国家を重んじた事を表しているが、後世大いに物議を醸したという。君子の三楽、すなわち身近な人への情愛、自己の道徳的完成、教育の喜びは、古今東西通じる人生論だと思われる。天の時より地の利、地の利より人の和とした戦争論も孟子らしいが、国家間・企業間の競争において適用できるだろうか。2024/06/01
北風
38
言ってること自体は正論で素晴らしいんですが、やはりどう読んでも孟子が揚げ足とりと屁理屈を延々続けてるようにしか思えません…。2016/03/08
崩紫サロメ
27
書き下し文→白文→現代語訳→解説、というスタイルの入門書。このシリーズ、解説部分に個性が出ると思うのだが、本書は孟子の生きた時代背景だけではなく、後世の孟子の受容などにも力を入れている(江戸時代の日本や陽明学への影響など)また、『孟子』は弟子や論的との議論の場面が多いが、著者は単に訳すだけではなく、孟子の反論がいささか迷走しているところを指摘していたりもして、面白い(告子上)。孟子の大事にしたこととして、性善だけでなく「権(臨機応変のやり方)」がしっかりと見えてくる形になっていて、良き入門書。2022/01/21
大先生
8
五十歩百歩、匹夫の勇、私淑、草莽の臣などなど、実は「孟子」から生まれたことば。孟子は、性善説の理想家というイメージがありますが、実は現実的な面も。相手から言質を取る弁論術も見事です(しかも自分に不利な部分には触れないというのも正しい。笑)一番ハッとしたのは、孟子曰、人之患、在好為人師。人に教えるっていうのは気持ちがいいので、ついつい聞きかじった知識をひけらかしてしまいますが、人の病ともなりかねないと…私は既に末期の患者かもしれません。苦笑2020/04/06
るるぴん
7
現代語訳と解説の部分のみ読んだ。孔子の後継者として考え方を踏襲。今でも普通に使われている熟語や故事、教えがたくさん。天下太平の世の中で民が納得し安定した生活を送れるようにすることが、立派な君主の務めであり、国を磐石にする近道と全国遊説行脚。各君主から賓客として迎えられていたようだ。儒教的教えはアジア人の自分にはDNAレベルで心身に刻まれていると思った。根幹は一緒の価値観のはずだが、国の個性の出方?違うのは地域環境や風土の差?孟子はある意味戦略論なので大陸の方が群雄割拠で知恵が必要とされていたのだろう。2019/03/13