出版社内容情報
佐野 大介[サノ ダイスケ]
著・文・その他
内容説明
四書のひとつに数えられ、人道的な教えを説く儒教の必読書である『孟子』。性善説・四端説などの人間論、王道論・井田制などの政治思想は現代にも通じ、「五十歩百歩」「私淑」ほか、故事成語の宝庫として、教科書でも親しまれてきた。多く諸侯との対話や他の思想家との議論で構成されたその内容は、巧みな弁論術も読みどころのひとつ。重要な思想を含む代表的な章を精選し、総ルビの読みやすい本文と簡潔な解説で楽しむ入門書。
目次
梁恵王上
梁恵王下
公孫丑上
公孫丑下
滕文公上
滕文公下
離婁上
離婁下
万章上
万章下
告子上
告子下
尽心上
尽心下
著者等紹介
佐野大介[サノダイスケ]
1973年生まれ。大阪大学大学院文学研究科修了。博士(文学)。大阪大学文学部助手を経て、台湾の明道大学応用日語学系助理教授。専攻は中国思想史、日本思想史。中国および日本における「孝」思想の研究のほか、近世大坂の漢字塾である懐徳堂についても研究している(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
北風
38
言ってること自体は正論で素晴らしいんですが、やはりどう読んでも孟子が揚げ足とりと屁理屈を延々続けてるようにしか思えません…。2016/03/08
崩紫サロメ
27
書き下し文→白文→現代語訳→解説、というスタイルの入門書。このシリーズ、解説部分に個性が出ると思うのだが、本書は孟子の生きた時代背景だけではなく、後世の孟子の受容などにも力を入れている(江戸時代の日本や陽明学への影響など)また、『孟子』は弟子や論的との議論の場面が多いが、著者は単に訳すだけではなく、孟子の反論がいささか迷走しているところを指摘していたりもして、面白い(告子上)。孟子の大事にしたこととして、性善だけでなく「権(臨機応変のやり方)」がしっかりと見えてくる形になっていて、良き入門書。2022/01/21
大先生
8
五十歩百歩、匹夫の勇、私淑、草莽の臣などなど、実は「孟子」から生まれたことば。孟子は、性善説の理想家というイメージがありますが、実は現実的な面も。相手から言質を取る弁論術も見事です(しかも自分に不利な部分には触れないというのも正しい。笑)一番ハッとしたのは、孟子曰、人之患、在好為人師。人に教えるっていうのは気持ちがいいので、ついつい聞きかじった知識をひけらかしてしまいますが、人の病ともなりかねないと…私は既に末期の患者かもしれません。苦笑2020/04/06
るるぴん
7
現代語訳と解説の部分のみ読んだ。孔子の後継者として考え方を踏襲。今でも普通に使われている熟語や故事、教えがたくさん。天下太平の世の中で民が納得し安定した生活を送れるようにすることが、立派な君主の務めであり、国を磐石にする近道と全国遊説行脚。各君主から賓客として迎えられていたようだ。儒教的教えはアジア人の自分にはDNAレベルで心身に刻まれていると思った。根幹は一緒の価値観のはずだが、国の個性の出方?違うのは地域環境や風土の差?孟子はある意味戦略論なので大陸の方が群雄割拠で知恵が必要とされていたのだろう。2019/03/13
Hiroshi
6
四書五経の1つの孟子。儒教は「孔孟の道」とも呼ばれ、孟子には「亜聖(聖人に次ぐ人物)」と呼び名がある。「堯→舜→禹→湯王→文王→武王→周公→孔子→子思(孔子の孫)→孟子」が儒教の先王の道だ。朱子は、最初に「大学」を読んで学問の枠組みを定め、次に「論語」を読んで学問の根本を立て、次に「孟子」を読んで学問の情熱的な現れを見、次に「中庸」を読んで古人の奥深いところを追究して欲しいと弟子に語った。孟子は子思の門人に学び、遊説活動で王道政治を説き、晩年は弟子の教育に専念した。エピソードには孟母三遷・孟母断機がある。2019/02/25