内容説明
空海が唐から学んできた教え(密教)と、他の一切の教え(顕教)の違いはどこにあるのか。唐から帰国して間もないころの若き空海が、その相違点を明らかにし、密教の独自性と優位性を理論的に主張する。十九の論点で示される仏身観、仏陀観は明瞭で、のちの密教教理の確立における先駆的成果となった。空海の思想を理解するための必読の書を、詳細な注とわかりやすい現代語訳で読む。原文読み下しも収載する最良の入門書。
目次
第1章 序説
第2章 本論(問答決疑;引証喩釈;印証註解;顕密分斉)
著者等紹介
加藤精一[カトウセイイチ]
1936年生まれ。慶應義塾大学法学部卒。大正大学大学院博士課程修了。博士(文学)。大正大学名誉教授。東京・南蔵院住職(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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デビっちん
17
総論→各論の流れで各項目について引用しつつ説明するスタイルが、昔から人を説得しやすい構造なんだろーなと感じました。2020/07/30
デビっちん
14
唐から帰国したばかりの若かりし空海の仏身観に触れることができます。本書の大筋は、顕教と密教の2つの教えを明確に区別していくことです。たくさんの経典や論書に明らかに記載された内容から導き出されたのは、[1]相手の能力や性質に応じて他受用心、応化身の仏が説くのが顕教です。[2]奥深い秘密の内容を自受用法性身の仏が直接説くのが密教です。この思想から、教理的に主張された本格的な密教が誕生したんですね。同じ資料でも受けての能力で伝わるものは異なります。先入観や思い込みから、浅い解釈になっていないだろうか?2016/09/09
うちこ
7
空海さんの熱量がすごい。読みながら、こんなトーンで説明しようとしていた時期があったんだ…という驚きがありました。「俺の密教」という勢い。 独立運動おじさんになる前に雄弁法律家であった頃のガンジーよのうなエネルギーを感じます。 この本のなかの空海さんは、現代のわたしの感覚から見てまったく日本のお坊さんに感じられない。世界を読んでいる人のよう。ありがたいことを教えてくれるお坊様というよりも、社会学者やコンサルタントのような印象を受ける。キレッキレの空海さんが本気を出すとこうなる、というような。 2019/01/11
Lily ※amazon不買運動中
2
正直、経典の内容が頭に入ってないので解読が困難だった。訳はわかりやすいのだが。 仏門に入った迷える僧には明快に仏の教えを説くものなのかと思う。 つまるところ、 仏には三身あり、そのどれもが説いたものがあり、 そのうち、 仏の真理そのものを指す密教と仏の悟りを他の者に分かりやすく解いた顕教とがある。 「不ニ摩訶衍(ふにまかえん)」こそ、仏の真理そのもの。 それこそ密教。 こういう理解で大丈夫だろうか? 誰か教えて。2021/04/11