内容説明
孤児だった早瀬主税は、ドイツ文学者酒井俊蔵に拾われ成長。しかし恩師酒井の逆鱗に触れ、最愛の妻お蔦との別れを決意する。後篇では酒井の娘妙子を守るため復讐の鬼と化す主税。やがて舞台は悲劇のクライマックスへ―。鏡花が後に加筆し、舞台や映画で一世を風靡した、お蔦と主税の別れの場面「湯島の境内」もコラムで掲載。難解な文体で知られる明治の幻想作家の傑作を、名場面の絶妙な現代語訳とあらすじで楽しむ。
著者等紹介
山田有策[ヤマダユウサク]
1943(昭和18)年、愛知県生まれ。東京大学文学部国語国文学科卒業。同大学大学院博士課程修了。近代文学研究者。東京学芸大学名誉教授(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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稲岡慶郎の本棚
感想・レビュー
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ちえ
38
来週母と歌舞伎座で見る予定の「婦系図」。泉鏡花の本を予習の為に読み始めたが難しくて読み進められない!!とこちらを購入。抄訳、翻訳、原文、とあり、相関図や地図、説明やコラムもわかりやすい。何より、舞台でのものは原作とはまた違っている(というか一部分を舞台用に作者が書き下ろした)ことなど知れてとても良かった。話の筋もわかったのでいつかまた原文にチャレンジしたい。2024/10/05
Tonex
35
泉鏡花の名作をわかりやすい現代語訳と総ルビ付き原文と詳細な解説で手軽に楽しめる本。『婦系図』は長いので、名場面をピックアップし、名場面と名場面の間はあらすじでつないでいる。▼泉鏡花の現代語訳は、素人がやってるものを除けば『高野聖』くらいしかないので、こういう本は貴重。▼泉鏡花は今は幻想文学者として人気があるのに、このシリーズに泉鏡花を入れるにあたり、『婦系図』を選ぶとは、なかなかしぶい。2016/04/29
てる坊
4
読みやすいのと本が現代文で解説してある。こんなすばらしい物語だったとは,感激ですね。 2013/09/20
りんご
2
あらすじで原作のだいたいの流れが分かる。ポイントの原文と口語訳があって、これもよかった2024/07/15
ぱめ
2
ずっと読みたかった本のあらすじが分かって良かった。内容が頭に入れば原文にもあたりやすそう。幻想作家のイメージが強かったから、こんな話も書いていたのかと面白かった。2024/05/06