出版社内容情報
谷 知子[タニ トモコ]
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内容説明
かるた遊びとして広まり、誰でも1つや2つの歌はおぼえている「百人一首」。すべての歌の意味、どんなところが優れているのか、そして歌人たちはどんな人だったのか―。天智天皇、紫式部、清少納言、西行、藤原定家、後鳥羽院ほか、日本文化のスターたちが一人一首で繰り広げる名歌の競演がこの1冊ですべてわかる!歌には現代仮名でも読みを付け、コラムには歌の技法や歌を作る場、現代につながる文化など、楽しい話題も満載。
目次
秋の田の(天智天皇)
春過ぎて(持統天皇)
あしびきの(柿本人麿)
田子の浦に(山辺赤人)
奥山に(猿丸大夫)
鵲の(中納言家持)
天の原(安倍仲麿)
わが庵は(喜撰法師)
花の色は(小野小町)
これやこの(蝉丸)〔ほか〕
著者等紹介
谷知子[タニトモコ]
1959年、徳島県生まれ。大阪大学国文学科卒、東京大学大学院博士課程単位取得。博士(文学・東京大学)。フェリス女学院大学教授。専攻は中世和歌。九条家を中心に、文学と歴史との融合分野の研究も行っている(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
takaC
52
定番ですね。2017/12/27
北風
25
読むの三度目です。このシリーズの中でも、すばらしいですね。解説は難しすぎず、易しすぎず。簡単すぎず、くどすぎず。ものすごくバランスのとれた内容です。またこの手の本で興ざめとなる「著者の意見」がほとんど入ってないのに、とても好感がもてます。100首、とりあえず全部知りたい人には、これがオススメですねえ。 オススメ度:★★★★★2014/09/08
buuupuuu
21
かるたで広く親しまれているが、華やかさよりも儚さや寂しさの印象が勝る。一瞬の輝きを放って消え去るもの、廃れてしまったもの、誓いながら叶わぬ想い、執着心などが歌われる。栄枯盛衰、諸行無常である。そこに美を観るのが中世的価値観なのだろう。親子やライバルが効果的に配置されドラマを感じる。解説にあるように、天智、持統両天皇の善政を象徴するような歌から始まり、ままならぬ世を嘆くような後鳥羽、順徳両院の歌で幕を閉じるという構成が思わせぶりだ。承久の乱を目にした定家の、終わりゆく時代への哀悼のようなものを感じてしまう。2023/05/18
ykshzk(虎猫図案房)
21
読み友さんレビューで惹かれて。ビギナーズ・クラシックスシリーズは本当にわかりやすい。学生の頃には眠くて面倒だっただけの古典が、あれ?面白い。何よりも、目の前に歌の情景が浮かぶようになったのは、この本の解説の素晴らしさか、自分が歳を重ねたせいか。天皇や大臣といった、自分と遠く離れた歌人達の人となりも解説から滲み出てきて、それを知った上でじっくり一首ずつ見ていくと本当に楽しい。現代より、物理的には非常に限られた範囲で生活していたはずの歌人達の想像力の果てしなさはいかばかりかと。毎日一首ずつ手帳に書こうか。 2022/01/13
ほうすう
15
百人一首に関する本をいくつか併読しながら読んだが最も読みやすい。比較的情報はしぼられていたが、歌の解説、用語の説明、作者についてなどツボをしっかりと抑えていて、百人一首の本を人に勧めるならまずこれだろうと思う。何日もかけて百人一首の本を読み続けていたのだが、百人一首というものは一つ一つの歌もさることながら天智・持統両天皇の理想をうたうのにはじまり、後鳥羽・順徳両院の昔の王朝を懐かしむ歌で終わるという構成に、一種の物語性すら感じられて、すべてを読み終わったときにはどこかしみじみとした気持ちになった。2022/05/31