出版社内容情報
海軍の特秘事件「美保関沖の大遭難」の真実を問う!昭和二年、島根県美保関沖で駆逐艦と巡洋艦が衝突。百余名の水兵が海没する、海軍史上空前の大事故が起きた。事故直後には明らかにされなかった真実や、関わった人々の人生を克明に綴るノンフィクション。
五十嵐 邁[イガラシ スグル]
著・文・その他
片岡 忠彦[カタオカ タダヒコ]
著・文・その他/イラスト
内容説明
昭和2年8月、島根県美保関沖で海軍史上空前の大事故が起きた。深夜の演習中、駆逐艦「蕨」に巡洋艦「神通」、駆逐艦「葦」に巡洋艦「那珂」が激突し、百余名の水兵が海没したのだ。事故後の軍法会議では、真相はついに究明されなかった。事故から半世紀を経て、「蕨」艦長の遺児がその真相に迫り、残された人々の人生を描き出す。「美保関事件」に翻弄された人々を追うノンフィクション。
著者等紹介
五十嵐邁[イガラシスグル]
1924年東京生まれ。47年東京大学工学部建築学科卒業後、大成建設株式会社に入社。67年より日本鱗翅学会理事を務めるなど多方面で活躍。79年同社取締役就任。在職中に京都大学理学部理学博士号を取得。88年信越化学工業株式会社取締役、93年日本蝶類学会会長などを経て、99年日本蝶類学会名誉会長に就任(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
CTC
6
78年単行本講談社、05年角川ソフィア文庫。1927年8月の島根県美保関沖での軍艦衝突沈没事件を記す。加藤寛治GF司令長官の下、夜間無灯火での猛訓練中に軽巡“神通”と駆逐艦“蕨”、同“那珂”と“葦”が衝突し“蕨”が沈没。 ワシントン体制下で、物理的な米英との戦力差を埋めるべく日常化した海軍の猛訓練は、この他多くの事故を惹起している。しかし例えばこの事件では119名もの犠牲を出しているが、直ぐさまありのままが報道され、原因究明が行われている。著者は大成建設で取締役まで勤めた実業の人だが…優れた書き手である。2016/07/29
wasabi
1
主人公・進が最終章で述べている。「歴史に真の審判者はいない…略…幾百万の将兵の血を吸って得られた栄光も屈辱も、その評価は常に紙のように薄い」なるほど、その時代の価値観やら力関係で生じた事象を、歴史の断片に過ぎない現在の価値観に照らして評価することは空しいのかもしれない。2006/01/09
kiiseegen
1
昨秋、美保関に立ち寄り燈台ビュッフェ裏にあった事故の概要を伝える説明板を目にしていたが、改めてこの本の存在を知り詳細を知る事が出来た。事故で亡くなられた方々の冥福を御祈り致します…。2013/04/04
アンゴ
1
日本海軍の演習中に起きた駆逐艦と巡洋艦の衝突と言う空前の大事故を時代背景を踏まえ始末や関係者、遺族の人生を辿る。著者は当時2才の事故艦「蕨」艦長の子息で被害者であるが、そのような面を出すことなくあくまで客観的に事故に向き合っている。海軍と言えど官僚組織であり、不祥事に際して組織を守る方向で収拾を図る姿勢は、原発問題にあたる今の経産省を彷彿とさせられる。2012/07/26
Eiji Nanba
0
昭和2年8月に起きた美保関遭難事件を扱った作品で、著者は沈没した駆逐艦「蕨」艦長のご子息。冷静な筆致で事件の経過と関係者のその後を追っている。「艦これ」でなじみのある船の名が出ていたので軽い気持ちで読み始めたが、ぐいぐい引き込まれてしまった。遭難された皆様に対して、合掌。2017/04/23
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