出版社内容情報
強靱な短歌的抒情の力を激賞された画期的論考!斎藤茂吉、窪田空穂、釈迢空、佐々木信綱――。戦中・戦後の占領期を生き抜いた歌人たちの暮らしや想いを、当時の新聞や雑誌、歌集に戻り再現。その内面と時代の空気や閉塞感を浮き彫りにする革新的短歌史。
三枝 昂之[サイグサ タカユキ]
著・文・その他
芦澤 泰偉[アシザワ タイイ]
著・文・その他/イラスト
内容説明
国民歌を作詞せざるを得なかった斎藤茂吉、愛息を失った悲しみを日本最長の長歌に込めた窪田空穂。歌人たちのありのままの生活や想いを、新聞や雑誌、個々の歌集に戻りながら再現。一首一首を丹念に読み解くことで、彼らの内面と戦争から敗戦を経て占領期へと変遷する、時代の空気や閉塞感を浮かび上がらせる。既存の短歌史には収まらない、著者渾身の新しい試み。第56回芸術選奨文部科学大臣賞(評論その他部門)ほか受賞作。
目次
第1部(花ひらく自由律;発端―老父は門べに旗ふりてをり;歌人たちの国民歌;分水嶺(1)紀元二千六百年奉祝歌集
分水嶺(2)大日本歌人協会解散事件
分水嶺(3)『新風十人』
戦時下の青春
満州という幻想)
第2部(国難来る、国難は来る―歌人たちの大東亜戦争;還るうつつは想はねど―学徒たちの戦争;幾世し積まば国は栄えむ―歌人たちの敗戦;草よ繁るな―短歌の中の沖縄戦;海山の嘆き―歌人たちの八月十五日;彼等皆死せるにあらず―悲歌と慟哭;斎藤茂吉日記「八月十四日ヲ忘ル丶ナカレ」考)
第3部(歌誌の戦後史;検閲、もう一つの戦争―占領期文化1;戦犯、短歌の昭和二十一年―占領期文化2;第二芸術論―占領期文化(3)
傍観という良心―戦後短歌(1)近藤芳美
生れたければ生れてみよ―戦後短歌(2)宮柊二
液化するピアノ―前衛短歌・塚本邦雄
占領が終わった日
終わりなき八月―竹山広の戦後六十年)
著者等紹介
三枝昂之[サイグサタカユキ]
1944年山梨県生まれ。早稲田大学時代に早稲田短歌会で活動、卒業後、同人誌「反措定」を創刊。92年歌誌「りとむ」を創刊、現在発行人。2011年6月紫綬褒章受章(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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