出版社内容情報
たくましく、野生的。大地の息吹を伝える名著。
オオサンショウウオ・テツギョ・ウミネコ・カブトガニなど、海や水辺に住む天然記念物の動物たち。彼らとの心温まる交流を通して、その生き生きとした生態と大自然の息吹を描く、渾身のノンフィクション。
内容説明
四つんばいでウォーッと吠えても見向きもしないオオサンショウウオ。ならばと背中をおさえ、首筋にガブリと噛み付いた―。動物をこよなく愛するムツゴロウさんが、野生さながらに海にもぐり、大地に寝ころび、野山へ分け入った。テツギョ・ウミネコ・カブトガニなど、海や水辺で出合った天然記念物の生き物たちとの心温まる交流を通して、その激しくも愛らしい生態と、ありのままの大自然の息吹を描く。
目次
1 オオサンショウウオ
2 テツギョ
3 カブトガニ
4 ウミネコ
5 ホタルイカ
6 モリアオガエル
著者等紹介
畑正憲[ハタマサノリ]
1935年福岡市生まれ。作家、動物学者。東京大学理学部卒業後、学研映画に入社し、動物記録映画の制作に携わる。その後、作家として著作活動に従事する一方、1972年に北海道に動物王国を建国。80年より21年間にわたって放映された「ムツゴロウとゆかいな仲間たち」により、「ムツゴロウ」の愛称で人気を博す。68年に『われら動物みな兄弟』で日本エッセイスト・クラブ賞、77年に第25回菊池寛賞、2011年に第1回日本動物学会教育賞を受賞(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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Sakie
16
動物学科在学中のエピソードが新鮮だ。研究室には度外れに生物を愛し、見つめ続ける人が集まる。試行錯誤の末に、"恐怖を覚えるほどの合理的な論理を備えた生体こそ神秘"と知る。ムツゴロウさんの動物に触れるやり方や思想はここで育まれたのだ。『その動物に、それがいる場所で会うのを優先した。手ざわりや息づかいを記したかった』のが今回の企画を受けての目的。その天然記念物の行動や生態を他の種から類推し、仮説を立てて実物に会う。類推が当たっていても外れていても、ムツゴロウさんは感動する。そしてその生き物をむやみに食べたがる。2020/08/23
赤い熊熊
1
赤目の滝ら辺にオオサンショウウオの生息地があり、それを「保護」してる施設がある。ムツゴロウさんは繁殖させることのできない飼育を「保護」とうそぶくなと仰る。確かに、飼い殺しでしかない。鉄魚の回には白点病にも憤っておられる。金魚を飼ったことがあれば必ずといっていいほど痛い目に遭う白点病。鉄魚も鮒の亜種だから白点病は天敵なのね。そんな所に納得。ムツゴロウさんの一番好きな動物はカエルらしい。ラストはモリアオガエル。両生類って生息環境が限られてるから。当時想像できただろうか、トノサマガエルは今や絶滅危惧種だ。2012/10/31