出版社内容情報
月のクレーターに名を残す麻田剛立。彼から日本の近代天文学は始まった。
幼少期から天体の観測を続けた少年は、独学でケプラーの第三法則を見つけ、やがてクレーター・アサダとして月に名を残す。大阪に日本初の天文塾を開き、日本の近代天文学の礎となった偉人の生涯をいきいきと描く。
内容説明
「ぼくの計算したとおりに日食が起こった!」。江戸後期、幕府の暦にない日食を予測した16歳の少年は、はじめ自分が間違っているのだと思った。しかし、優れた観察力をもつその眼は、歴史を塗り替える発見を重ねていく―。日本初の天文塾を開き日本の近代天文学の礎となった麻田剛立。その名は「アサダ」として、月のクレーターにも刻まれている。貴重な資料とともに、知られざる偉人の生涯を、周囲の人々とのかかわりのなかで描く。
目次
1 少年の疑問
2 天体観測と暦
3 人生の転機
4 “麻田剛立”第二の人生
5 大宇宙の探究
6 天文学を科学に
7 剛立天文学の精神
著者等紹介
鹿毛敏夫[カゲトシオ]
1963年大分県生まれ。広島大学文学部史学科卒業。九州大学大学院人文科学府博士後期課程修了。現在、東京大学史料編纂所国内研究員、国立新居浜工業高等専門学校准教授。博士(文学)。『月のえくぼ(クレーター)を見た男麻田剛立』によって第4回福田清人賞受賞(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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mae.dat
161
才能溢れる人は、どうしても成果を挙げてしまうのですかね。 若くして藩主の侍医となるも、嫉みからの孤立する事になってしまってね。侍医を続けられなくなって、脱藩と言う大罪を犯すも、それを許す藩主。そして脱藩してもなお、心の中ではまだお使えし続けていると言う剛立。とか、胸熱。 ケプラーの法則を知り、動揺する様子はかわええ。この辺りもう少し詳しく記載が欲しかった。 でも、全体的に綿密な取材を元に書かれているの分かります。鹿毛さん。現代に伝えてくれてありがとうございます。( ¨̮ )。2021/03/15
123456789wanko
4
ヨハネス・ケプラーら西洋の知見を取り入れ、日本初の天文塾を開いた麻田剛立の伝記。天文学のみならず、医学、算学、哲学などに明るく、まさに博物学者と呼ぶに相応しい。これと決めたことに没頭する集中力と、多くの人に慕われた魅力溢れた人物。このような素晴らしい人物を知らなかった自分が恥ずかしいです。2012/09/03
shou
3
平易でさっと読める伝記。興味を持った学問に邁進し、周囲の理解と援助に恵まれ成功したモデルとして描いているので、最後に著作を焼き捨てるに至った煩悶は描かれない。もともと子供向けの作品ということで仕方がないか。2015/02/14
るき
2
元はくもん出版の伝記だけあってするする読める。江戸時代の算術は凄いですねぇ。『天地明察』と併読すると楽しいです。2012/12/29
新宿サブナード
2
元は「くもん出版」で小学生高学年・中学生向けに出版された本を文庫化しただけあって全編平易な文章で述べられている。同じく江戸時代の天文学者である「天地明察」の渋川晴海と対比させながら読むと面白さが倍増する。どちらも師や援者に恵まれているのが羨ましく感じ、天体学に生涯をかけたことに感動を覚える。2012/09/10