内容説明
自分?別人?心は見えるか。
目次
第1章 心についた傷(斎藤茂太『女のはないき・男のためいき』八〇三夜;北杜夫・斎藤由香『パパは楽しい躁うつ病』一七二一夜 ほか)
第2章 自分の中の別人たち(アシュレイ・モンターギュ『ネオテニー』一〇七二夜;デイヴィッド・ホロビン『天才と分裂病の進化論』六八四夜 ほか)
第3章 脳が心を見ている(ワイルダー・ペンフィールド『脳と心の正体』四六一夜;カール・ポパー&ジョン・エクルズ『自我と脳』一〇五九夜 ほか)
第4章 心理学と「私」の間(カート・ダンジガー『心を名づけること』一七二三夜;ゲオルグ・グロデック、野間俊一『エスとの対話』五八二夜 ほか)
著者等紹介
松岡正剛[マツオカセイゴウ]
編集工学研究所所長、イシス編集学校校長。1971年、オブジェマガジン『遊』を創刊。超ジャンル的編集と先駆的グラフィズムを次々に生み出し、アート・思想・メディア界に多大な影響を与える。1987年、編集工学研究所を設立。情報文化と情報技術をつなぐ方法論を体系化し、さまざまな企画・編集・クリエイティブに展開する。著書多数(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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KAZOO
102
もう角川文庫でこのシリーズ14冊になっています。20冊まで行くのでしょうか?今回は主に表題のように精神医学や脳についてのはなしあるいは心理学についての本の紹介がほとんどです。異色なのは夏樹静子の「椅子がこわい」という本が取り上げられていて私は未読なので読んでみようという気になりました。第二章の「自分の中の別人たち」の中に紹介されている本も気になりました。2020/03/03
ばんだねいっぺい
29
再読。精神医療は、過剰なのか、無力なのか。改めて「ねばならぬ」のくびきから解かれる道を示された気がする。佐野元春のレインの歌がぜひ、聞きたい。そして、「中断」を方法として、職場で実践してみたい。想像の余地がプラスに働かないことも考えながら2021/12/30
ばんだねいっぺい
28
読んだことがあるのもあって、楽しいな~とパラパラ進んだ。こういう衒学的な読み物ってあんまない。北杜夫のエピソードが強烈だった。スティーブンソンの島へ観光してみたいな。2020/06/06
karutaroton
12
一度ホテルにこの本を忘れてきて、さらに読むのに時間がかかった。いつもながら、広い分野に興味がおありで。最後の 岩井寛 森田療法 の紹介が特に良かった。「自分自身の弱さと同時に、他者の弱さも認める、受け入れる必要があります。」 高知の地獄絵図の話で、以前高知にある八十八ケ所札所 竹林寺で地獄絵図を見たのを思い出した。あと、今絶賛アニメ視聴中の、BANANA FISHが突然出てきて驚いた。2020/12/25
Hatann
10
再読。私たちは、しばしば不安や憂鬱に苛まれ、トラウマが解消できず、ときに自分の中にいる別人に愕然とする。精神医学や心理学の系譜や文学作品を紐解きつつ、心の病気と心の正体に迫る。現代の精神医学は患者を苦痛から解放するため、診断して病気をレッテルづける。本来曖昧な心の病気の境界は感情の領域にも侵食する。そもそも治療すべき心はどこにあるのか、脳にあるのか、体にあるのか、それとも社会にあるのか。心の病気と健常とのあいだを巡る考察は、脳と体、個体と社会、各々の境界に波及する。最後には生と死の境界にも切り込んでいく。2022/05/29