出版社内容情報
始皇帝も「籠の中の鳥」から始まった。軽妙な筆致で描く、中国古代の人物伝
内容説明
神話の時代から前漢までの歴史を綴る『史記』は、単なる事実の列記に留まらない。孔子、始皇帝、項羽、劉邦―司馬遷が示す人物像は、ときに我々の抱くイメージをくつがえす。そして苦悩や葛藤を抱え、悩みながら行動するその姿は、長所短所や善悪功罪の両面を併せ持っている。しかしだからこそ、いつの時代も読む者に深い感慨を与えてやまない。『史記』の人物描写にもとづいて、中国古代の世界を100の物語で解き明かす。
目次
1 神話から人間の時代へ(伝説の時代;聖王の時代;夏王朝;殷王朝)
2 周から春秋戦国時代へ(周王朝;覇者の時代;諸子百家の時代;侠客の世界;遊説の士;武将の運命;忠臣の末路)
3 統一王朝の成立(天下統一;項羽と劉邦;前漢建国;武帝の時代)
著者等紹介
渡辺精一[ワタナベセイイチ]
1953年、東京生まれ。國學院大學大学院文学研究科博士後期課程単位修得。二松学舎大学講師、朝日カルチャーセンター講師、早稲田大学エクステンションセンター講師として、中国史や中国文学の分野で教鞭をとる(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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しゅてふぁん
39
100の項目(人物)を『史記』にもとづいて解説した一冊。戦国策と税苑を読んだ後にそれらに登場する人物や時代の流れを整理するのに役立った。そして今までバラバラに読んでいた古典作品が少しずつ繋がってきた。その中でも『韓非子』が多く引用されていたのが印象的。中国古代史初心者だけど著者の意見とは異なる考えもあったりして、これから読む史記が楽しみ。2020/06/15
さとうしん
10
黄帝をはじめとする五帝の時代から司馬遷の同時代となる前漢の武帝の時代まで、更には唐の司馬貞が補った三皇のことなども加えつつ、『史記』の内容を時代に偏ることなく紹介しているが、解説がいちいち俗流なのが欠点となるか。このあたりは先日来Twitterで話題となっている、古典を現代語訳ではなく原文で読む意味を逆説的に示してしまっているのかもしれない。2019/10/08
ボタン
2
面白い。それぞれの人物などが短くまとめられていて、小説の主人公になる人以外の人ことも簡潔に知ることができてありがたい。2024/08/21
Terry K
1
司馬遷「史記」を噛み砕いて解説、中国古代史の流れを掴むことができた。「キングダム」で描かれている始皇帝とはかなり異なる実像が描かれているのがとても興味深い。2023/03/18
黎明 曉
0
学生時代に受けた中国文学演習の雰囲気がそのまま本になったようで、受講生として懐かしく嬉しい1冊。原文の引用一切なしで『史記』とその著者司馬遷に触れられるので、漢文初心者にもお勧め。この本で取り上げられているエピソードの原文を、あとから探してみるのも良いと思います。 また、史記について面白い視点が得られます。 精一節炸裂してます。2020/12/07