内容説明
目出度い虫、臭い虫、光る虫、薬になる虫、食べられる虫、水に棲む虫…。身近な虫たちの生態を楽しく紹介。虫の世界では女性上位。頭を食われても種族を残そうとする雄カマキリの悲哀。虫の糸で作られていたテグス。コオロギは提琴家、蝉は声楽家、生ける飛行機ほか、文豪桂月の子息ならではの詩的な表現も。日本に自然があふれていた昭和の少年たちを夢中にさせた、ミクロの世界に誘われる名エッセイ。
目次
目出度い虫
大きい虫
小さい虫
虫の母
虫の父
光る虫
鳴く虫
虫の提琴家
虫の声楽家
生ける飛行機
お伽噺の舞姫
水に棲む虫
はかない虫
虫の力
糸をつむぐ虫
お蚕さま
薬になる虫
食べられる虫
臭い虫
血を吸う虫
虫と病気
家畜の害虫
家庭の害虫
植物を食う虫
稲の害虫
敵虫
花と昆虫
虫の保身術
虫の陶工
蜜蜂
蟻
白蟻
昆虫と遺伝学
日本の昆虫
著者等紹介
大町文衛[オオマチフミエ]
1898‐1973。大正から昭和時代の昆虫学者。随筆家。三重大学名誉教授。日本昆虫学会評議員。文豪・大町桂月の次男。コオロギ類の研究で知られ、「コオロギ博士」として親しまれた(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
ポメ子
7
昭和34年の本で、古い内容だろうかと思ったが、そんなことはなく、興味深い内容が多く付箋を何ヶ所もつけるほど虫についての雑学も学べた。特に印象に残ったのは、小さなネズミを捕って食べたバッタの標本が大英博物館に保存されているということだった。2019/05/06
yamakujira
3
戦前に新聞連載された随筆で、文庫本は昭和34年初版発行、平成31年改版初版発行って、息の長い作品だね。解説で池田清彦は「生物多様性という言葉もなく、絶滅危惧種を保護しようという考えもなく、生態系の保全という概念もない時代」を牧歌的と評するけれど、著者は学者なのだから当時の無智は責められるべきだろう。蚕と蜜蜂を益虫の双璧として讃える一方で、蚤や蚊や蠅など「早く絶滅させてしまわなくてはいけない」と暴論を吐くのに愕然とする。でも、文章は親しみやすいし、端々にのぞき見る当時の世相はおもしろい。 (★★★☆☆)2020/08/16
tenori
3
まず表紙のイラストが美しい。さらには初版が1959年。約60年の歳月を経た2019年改定初版。そこにどのような意味が隠されているのか、書店で平積みされていたことにも興味をひかれた。楽しい昆虫エッセイから感じたのは時代に左右されない生態の巧みさと、人間との関わりの深さ。著者は文豪・大町桂月の次男で昆虫学者。その文脈や表現は日本語の美しさを感じる。昭和の隠れた名著なのかもしれない。2019/05/26
せどりっく
2
「否その妻を恋うる哀切の情は鹿の鳴く音にも劣らないと思う。」 「蝶は昆虫界で最も美しい仲間であろう。自然がこんなに美しい多彩な色を惜しげもなく使うのは花の他にはないのである。」 日本=豊葦原瑞穂の国、秋津洲 面白かった。とても楽しかった。雑草抜いて種まいて育てて収穫する蟻すごい!2024/05/31
fantamys
2
元祖「昆虫すごいぜ」?2019/08/12