出版社内容情報
大角 修[オオカド オサム]
翻訳/解説
内容説明
阿弥陀仏と極楽浄土を説き、日本の歴史と文化に深く浸透している「浄土三部経」(無量寿経、観無量寿経、阿弥陀経)の全文を現代語訳。祭礼のにぎわいやリズムを重視しつつ、象徴的でくりかえしの多い言葉などを詩歌の文体にならって適宜改行、章題・小見出しによる区切りを設け、読みやすく整理する。「日本の浄土教と文化」に関するコラム18編、経典成立から浄土教の歴史までを網羅する「浄土教の小事典」を付した入門書。
目次
第1部 阿弥陀経―極楽の荘厳(西方十万億土の彼方に;倶会一処の極楽世界 ほか)
第2部 観無量寿経―阿弥陀仏と観音・勢至の観法(王舎城の悲劇;極楽の荘厳を思念せよ 第一観~第六観 ほか)
第3部 無量寿経“巻上”阿弥陀仏の四十八の本願(山上の会衆;四十八の本願の由来 ほか)
第4部 無量寿経“巻下”菩薩の戒めと励まし(彼の国へ;世の灯火 ほか)
浄土教の小事典(浄土経典の成立と広まり;浄土教の先師 ほか)
著者等紹介
大角修[オオカドオサム]
1949年、兵庫県生まれ。東北大学文学部宗教学科卒業。宗教研究家、有限会社「地人館」代表。仏教書を中心に幅広く編集・執筆活動を展開している(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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ホシ
21
現代語訳を謳っていますが、経文の重要語の解説を訳文に組み込むなどしてあります。巻末には浄土教に関する小事典があり、経典の翻訳本というより浄土教の入門本と言った方が良いかもしれません。純粋な逐語訳を望む読者には期待外れでしょうが、浄土教の基礎知識を知りたいという方にはオススメの良書です。『無量寿経』の「讃重偈」の内容を知れたのが良かった!お経だから荒唐無稽な描写も多々ありますが、大経の下巻には人間の姿を見抜いた鋭い言葉もあって、この部分はぐっと胸が熱くなりますね。次は逐語訳本や原文と照合しながら読みたい。2019/08/05
❁Lei❁
14
阿弥陀仏は四十八の請願を立て、念仏を唱えるならどんな人でも極楽往生できるようにした。よって罪を悔い改め、念仏を唱えなさい。そんなことが書かれた、他力門の浄土宗・浄土真宗の経典です。コンパクトに重要な部分がまとまっており、コラムや小辞典もついているので、初心者におすすめです。2023/04/19
月音
6
三つの経典の現代訳の他、浄土教信仰史、文化面の解説が充実している。昔の人々が生と死、魂の行方をどうとらえ、生活や思考に反映させてきたか。現代につながるものとしてみると、無縁と思えた経典も身近に感じる。『枕草子』『源氏物語』などの古典文学に書かれているあれこれ、仏像・仏画なども典拠はこれかと知ること多数。『観無量寿経』で説かれる悪人の救いは興味深く読んだ。教えに背き大罪を犯した男が地獄へ落ちるが、死の直前、仏を念じたため未来には自らも仏になれるという。⇒続2024/08/11
本のロマンス
6
浄土三部経で語られる極楽浄土の様子、それは美しく荘厳された高楼・宮殿などが整然と立ち並び、色彩豊かな樹木・花・池泉に囲まれた、素晴らしい環境だ。一方そこでの生活は、念仏・読経などを中心とした修道的な生活で、平穏にして淡々とした日々の繰返しとなろう。それ故、極楽浄土での生活は、平穏にして淡々とした観想的生活をよしとする者にとってはまさに至福となろうが、刺激と俗欲を求め願う多くの者にとっては退屈このうえなかろう。だから、極楽浄土には、前者のような生活観をもつ人々が、選択され迎え入れられるのではなかろうか。2023/08/28
聲
4
一応読んでおかないとな、という程度で根本経典である「阿弥陀経」「観無量寿経」「無量寿経」の現代語訳を。ぱっと見、原始仏教を相容れないように感じられる浄土思想、親鸞の思想も、あくまでブッダの思想に根ざしているのだと確認できた。背景として知っておくのはやっぱり重要だ。2022/09/30
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