内容説明
フェルマーの最終定理、ポアンカレ予想などに続く数学の超難問「ABC予想」。ひとりの日本人数学者が、この予想を解決に導く「IUT理論」を公開し、世界に激震が走った―。論文を発表した望月新一教授と、議論と親交を重ねてきた数学者が、理論の斬新さと独創性、その核心をわかりやすく伝える。
目次
第1章 IUTショック
第2章 数学者の仕事
第3章 宇宙際幾何学者
第4章 たし算とかけ算
第5章 パズルのピース
第6章 対称性通信
第7章 「行為」の計算
第8章 伝達・復元・ひずみ
著者等紹介
加藤文元[カトウフミハル]
1968年、宮城県生まれ。東京工業大学理学院数学系教授。京都大学理学部卒業、同大学大学院理学研究科博士後期課程(数学・数理解析専攻)修了。博士(理学)。京都大学准教授、熊本大学教授などを経て、2015年より現職。その間、ドイツのマックス・プランク研究所研究員、フランスのレンヌ大学やパリ第6大学の客員教授なども歴任(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
miri
73
ABC予想を解決したとされる、京都大学の望月新一教授の宇宙際タイヒミュラー理論の一般向けの解説書。骨格だけを様々な比喩を散りばめて解説してあるので、数学の面白さを僅かなりとも感じることができました。学生時代の灰色の思い出が一新。たし算とかけ算の絡み合いを分離、複数の数学の舞台を設定、複数の数学の舞台間の通信、非常に独創的でSFのような印象すら受けます。前半は理論の解説ではなく、数学界の現状の説明。肝心の理論の解説を読みたくてもどかしい思いをしました。2020/02/22
booklight
40
ゴリゴリの理論本かと思ったら、望月先生の身近にいた加藤先生による、IUT理論前夜から、望月先生へ誤解を解き、数学の論文周辺や、IUT理論の超概要までを説明してくれる。ABC問題を解くための理論ではなく、そもそも違う世界の数学を比べるという今までにない発想のIUT理論は、数学の世界を大きく変える可能性があり、その成果の一つとしてABC問題が解けるようになるらしい。ピースの大きさが違うパズルははめられないが、カメラでピースを映して大きさを変えたらはめられる!という比喩で説明。ちょっとだけわかってうれしい。2023/07/16
Tenouji
32
とても面白かったので一気読み。数学が人間のプリミティブな思考を表す抽象概念とすれは、IUT理論は、数え上げの数字世界から、大局と局所を扱う新たな数学概念を提案しているのではないか、と感じさせる(理解したわけではないw)。そもそも無限に濃度がある、って扱いに違和感を感じていたので、そのあたりの構造が明確になりそうで、ワクワクして読んだ。また、数学者のアナロジーと直感の話しが、よかった。この時代にIUT理論のようなものが出てくることと自体、不思議なものなのだが。2022/05/03
キョートマン
31
既存の数学では「たし算」と「かけ算」が複雑に絡んでいるために一見単純な問題を解くのも難しくなることがあるらしい。たしかに受験数学の整数問題も単純そうに見えてムズイのがたくさんあったなー。新しい数学体系を作って「たし算」と「かけ算」を分離するのがIUT理論らしいが、まあ分かったような分からなかったような...2020/06/03
MAEDA Toshiyuki まちかど読書会
27
再読チャレンジ3回目!素人考えですが、望月教授のIUT理論はアイザック・ニュートンの微分積分と同じくらい偉大な業績だと思いました。一般人の500年先を行っている(^^) 以下、毎日新聞より、 望月教授は京大広報課を通じ、解説を公表。「証明完成まで20年ほどかかった」とし、「ABC予想の解決は、IUT理論の一つの重要な帰結であるだけでなく、この理論が整数の深い性質をとらえ得るほど十分な深さを持った理論であることを示している」とした。2020/04/04
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