内容説明
オデュッセイアー、神曲、リア王、ドン・キホーテ、嵐が丘、ボヴァリー夫人、赤と黒、カラマーゾフの兄弟―ギリシア古典からロシア文学まで。
目次
第1章 伝説から表現へ(ホメーロス『オデュッセイアー』九九九夜;ソポクレス『オイディプス王』六五七夜 ほか)
第2章 物語の可逆性(ジェフリー・チョーサー『カンタベリー物語』二三二夜;ウィリアム・シェイクスピア『リア王』六〇〇夜 ほか)
第3章 女という作品(アベ・プレヴォー『マノン・レスコー』一二八一夜;メアリー・シェリー『フランケンシュタイン』五六三夜 ほか)
第4章 力と愛と罪(スタンダール『赤と黒』三三七夜;ヴィクトル・ユゴー『レ・ミゼラブル』九六二夜 ほか)
著者等紹介
松岡正剛[マツオカセイゴウ]
編集工学研究所所長、イシス編集学校校長。情報文化と情報技術をつなぐ方法論を体系化した「編集工学」を確立、様々なプロジェクトに応用する。2000年「千夜千冊」の連載を開始。同年、eラーニングの先駆けともなる「イシス編集学校」をネット上に開校し、約600名の師範代を育成。編集術とともに世界読書術を広く伝授している(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
KAZOO
99
このシリーズも17冊目ですでに18冊目も出ています。世界文学の名作選ということでギリシャの古典から近代の作品まで24冊の紹介がなされています。松岡さんの凄いところは、このような作品でも書かれたその国の時代背景やその作品の立ち位置などかなり詳しくまたそれぞれの参考文献も収められています。単なる読書感想ということではありません。異読の本がほとんどでしたので読むに際しても非常に楽しめました。2020/10/26
まこみや
22
物語を読んで得心がいくということがある。それは完全に理解したという気持ちではない。喩えるなら、どの鍵が合うかわからずに入ることが叶わなかった部屋の扉が、ある鍵がぴたりとはまってカチャリと扉が開いた感じとでも言えばよいだろうか。古典・名作と称される作品ほど、読み終わってボゥーッとしてクラクラした頭の中でぼんやりと感動はするけれど、いざその感動の内実を納得しようとするとき、一体どこから手をつけたらよいのかわからない。そんな五里霧中のなかで作品という山に登る脚がかり(と挑発)を『物語の函』は示してくれている。2021/03/03
ハルト
8
読了:◎ ギリシャ「オデュッセイアー」からロシア「アンナ・カレーニナ」までの二十四点の名作古典のブックガイド。著者独特の視点から作品を読み解く。参照本もついていて親切設計。その作品の遍歴や背景、成り立ちなんかもあって深く知識に沈める。高品質の読書エッセイでもあり、あらたな読書経験の開拓に繋がると思った。2021/01/25
Masato Hayakawa
4
松岡正剛さんによる最強ブックガイド物語篇。絶対面白い奴じゃんと思って読んだら、想像以上に面白いやつでした。ユリシーズ原文と格闘中なので、のっけのホメロスのところからガツンとやられ(ホメロス来年こそは、読みたい)、神曲、アンナカレーニナへの正剛さんの熱にあてられ、読みたい本のリストが更に長くなりました。アンナカレーニナは再読したいなぁ。そして、カラマーゾフの兄弟の大審問の話は、やっぱり難しい、、2020/12/05
森江 蘭
1
世界文学の中でも、主に19世紀までを扱う全編。神話ではない、物語のルーツとして、ホメロスの『オデュッセイア』を巻頭に戴き、ダンテ、ラブレー、シェイクスピア、セルバンテスという古典の完成期を網羅し、ゾラからメリメ、トルストイ、ドストエフスキーへと近代文学の幕開けまでを連ねた一冊。ううむ、まだまだ読んだことのない古典がたくさん。人生は本を読むのにあまりに短い。嗚呼!2022/02/28