出版社内容情報
谷崎 潤一郎[タニザキ ジュンイチロウ]
著・文・その他
内容説明
九つの時に失明し、やがて琴曲の名手となった春琴。美しく、音楽に秀で、しかし高慢で我が侭な春琴に、世話係として丁稚奉公の佐助があてがわれた。どんなに折檻を受けても不気味なほど献身的に尽くす佐助は、やがて春琴と切っても切れない深い仲になっていく。そんなある日、春琴が顔に熱湯を浴びせられるという事件が起こる。火傷を負った女を前にして佐助は―。異常なまでの献身によって表現される、愛の倒錯の物語。マゾヒズムを究極まで美麗に描いた著者の代表作。
著者等紹介
谷崎潤一郎[タニザキジュンイチロウ]
1886年東京生まれ。東京帝国大学国文科中退。1910年、第2次「新思潮」創刊に関わり、同年「刺青」を発表。『痴人の愛』『卍』などの耽美主義的な作品で知られ、生涯で3度の『源氏物語』現代語訳を手がけた。1949年、第8回文化勲章受章。1964年に日本人で初めて全米芸術院・米国文学芸術アカデミー名誉会員に選ばれる。1965年7月没(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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ykmmr (^_^)
110
谷崎得意のマゾ小説のはずだが、相当の性格な2人が、外から見るとツンデレ・上下関係ありありであるが、佐助の見えなくなった目も相まって、実は2人が、2人だけの世界を作り、心で手を繋ぎ合っていると言う事を想像させる純愛小説である。そして、さらに佐助は目が見えなくなった後に、彼女に手を触れながら、彼女を感じて最後まで尽くしたんだろう。2021/11/11
扉のこちら側
108
2016年506冊め。新潮文庫版で初読、角川文庫で再読。句読点についての実験小説でもある。流れるような文体で、読み手を引き込む。谷崎ならもっと難しい語句を使って難しい表現で書くこともできたはず。そうしなかったところに、架空の伝記小説として読ませるための計算を感じる。二人の間にあったものは愛なのか、それともそれに近く非なるものなのか。やはりわからない。2016/07/02
魚京童!
57
私も目を突き刺したくなる相手と出会いたいものだ。幸せってなんなんだろうね。没頭してることなのかな。自分を失っているときに幸せなんて嫌だと思うのはそういう風に頭が固定されているからかな。テーゼとアンチテーゼが出てきているから、後はジンテーゼに仕上げるだけだけど、そこに浮遊すす時間があってそこで今現在ふわふわしているのだろうと思う。もう少し空を飛んでいるんだと思うけど、着地しないとまずいとも思う。降りなきゃと思いながら降りられない現状ってそれはそれで幸せだとも思う。しかし一瞬一瞬の連続した幸せだけど。2016/11/13
里愛乍
50
薄さの割に中身は濃く、春琴と佐助の主従関係はもとより、ヒロインが盲目で気が強いというキャラ性がなんとも好み。この佐助の献身ぶりも半端なく、恋愛という言葉があまりにも生温く感じてしまったくらいである。なにより盲目になった理由が凄まじいではないか。当人の幸せなど如何にも他人には測りようがないのである。盲目の眼に視える美しさに実体はとても敵わないのだと思わされた。2021/12/05
そら
49
谷崎潤一郎は3冊目だけど相性が合うな~♡。面白かった~!お嬢様と奉公人であり、師匠と弟子であり、人生のパートナーでもある二人の関係。2人の関係は規格外。どんな表現にも収まり切れない。(小説においてはよくある。)異常に尽くしすぎる佐助が哀れだけど本人は究極に幸せなんだよね。佐助はマゾ?違うな~。やっぱりこれは運命的な恋!2020/06/02