出版社内容情報
平安時代中期の才人、藤原公任によって編まれた漢詩句588と和歌216首からなるユニークな詞華集の全作品に、最新の研究成果に基づいた現代語訳・注釈・解説を付す。文学作品としての読みも示した必読の古典。
内容説明
平安時代中期の才人、藤原公任が編纂、漢詩句と和歌を融合させたユニークな詞華集。春・夏・秋・冬の四季の景物からなる上巻、風・雲・晴・暁・鶴・猿・管弦ほか48題からなる下巻。日本文学に大きな影響を与えた、漢詩句588と和歌216首の全作品に、現代語訳・注釈・解説を付載。編者公任がどのように詩句や和歌を選択・配列し、主題を表現したかという文学作品としての読み方も懇切に示す。平安貴族の文化にふれる必読の古典。
目次
巻上(春(立春;早春;春興 ほか)
夏(更衣;首夏;夏夜 ほか)
秋(立秋;早秋;七夕 ほか)
冬(初冬;冬夜;歳暮 ほか))
巻下(風;雲;晴 ほか)
著者等紹介
三木雅博[ミキマサヒロ]
1954年和歌山県生まれ。大阪市立大学大学院博士課程単位取得満期退学。梅花女子大学文化表現学部日本文化創造学科教授。博士(文学)。専門は日中比較文学、平安朝文学(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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KAZOO
82
先日読んだ前田雅之先生の「古典と日本人」に掲載されていたのと今迄に読んだこともなく興味を覚えたので、手に取ってみました。漢文の詩と和歌を混在させて藤原公任が編纂したものだそうで、前半は四季を中心にまとめられ、後半はそれ以外の風景や事物、人物などを題材としたものとなっています。右ページに和歌や漢詩、左ページに解説があり読みやすいのですが解説の文字が少し細かく老人にとっては大変でした。そのうち再読するときには、声に出して読んでいくのもありかなと考えています。2024/01/28
みつ
21
折に触れ開くこの詩歌集。漢詩では白楽天のものが多く、対して杜甫、李白がひとつも採られていないのは当時の人気を反映したものか。前半は短歌の勅撰集の配列で四季の作を配置。短歌の冒頭作は古今集と同じく在原元方の年内立春の歌。後半は中国風の主題も多い一方恋に関するものが極端に少ないのは勅撰集との大きな違い。漢詩はハイライトとも言うべき対句を中心に一部を抜き出しており心に残るもの多数。「雪月花の時に最も君を憶ふ」(733)、「往事渺茫として都(すべ)て夢に似たり」(742)、「年々歳々花相(あ)ひ似たり」(790)2025/01/21
shou
9
藤原公任選の白居易らの漢詩句と紀貫之らの和歌からなる構成。引かれた詩句は色彩豊かに自然を詠っていて絢爛。王朝貴族の価値観はこの辺にあったのだろうか。白文、読み下し文、訳文とあるので解りやすい。「憐れぶべし九月初三の夜 露は真珠に似たり月は弓に似たり」「往時眇茫として都て夢に似たり」2015/02/06
中津ゆか
6
臨書をしていてどうしても意味が分からなかったので購入。いや買ってよかったなぁと思いました。講談社の方は高いみたいだし…笑 これを開きながら勉強しようと思います。少しだけ和漢朗詠集に近づいた感じ笑 あと最後の解説は和漢朗詠集の成り立ちが読めてよかったなぁと思いました😄2025/01/01
零水亭
6
(2014年頃読みました)漢詩の白文が付いているのはありがたいです。平安朝では文選、白居易がよく読まれいたのがよく分かります。李白、杜甫等の盛唐詩が流行るのは江戸中期まで待たねばなりませんし、白居易の社会詩が注目されなかった点もよく批判されますが、流行や受容者が上流階級に限られており、やむを得ないでしょう。白居易の「閑適」の詩には確かに日本人を惹き付ける何かがあると思います。