出版社内容情報
矢羽野 隆男[ヤハノ タカオ]
著・文・その他
内容説明
人はなんのために生き、なんのために学ぶのか―。国家のリーダーを目指す者は単に学問を身につけるだけではなく、自己を修練し徳を身につけるべきである、と述べる『大学』。人間の本性とは何かを論じ、いかなる場合にも誠実を尽くして適切な行動をとれ、と説く『中庸』。二宮尊徳、西郷隆盛、西田幾多郎など、多くの偉人たちにも影響を与えた儒教の名著を、わかりやすい現代語訳とていねいな解説で学ぶ、格好の入門書!
目次
大学(『大学』のエッセンス―経の一章;明徳を明らかにするとは(釈明明徳)―伝の第一章
民を新たにするとは(釈新民)―伝の第二章
至善に止まるとは(釈止至善)―伝の第三章
本末とは(釈本末)―伝の第四章 ほか)
中庸(『中庸』思想の要点―第一章;孔子の説く中庸―第二章~第十一章;広大明白な現象(費)と隠微な原理(隠)と―第十二章~第十七章
孔子が哀公に説く政治論―第二十章
子思の説く誠―第二十一章~第三十二章 ほか)
著者等紹介
矢羽野隆男[ヤハノタカオ]
1965年生まれ、大阪大学大学院文学研究科博士後期課程中退。現在、四天王寺大学人文社会学部教授。専攻は中国哲学・日本漢学(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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壱萬参仟縁
29
儒教概論。『大学』の政治学は前提に個人の道徳を説き、中庸の道徳学は政治を説く(12頁)。『大学』は、本文わずか1750字。学問の目的と方法を述べ、冒頭205字に要点凝縮(30頁)。成人の学問としての大学(32頁)。朱子の格物致知。「物に格(いた)りて知を致す」=「あらゆる物事についてその内にそなわる道理を窮め尽くし(窮理)、知を推し進める」という解釈(69頁)。ミル『自由論』を中国に紹介した厳復は『群己権界論』(1903年)の中で、自分も他人も自由。自由が無制限なら、互いに衝突。だから自分の自由は 2019/01/02
いとう・しんご singoito2
12
「大学」「中庸」とも「礼記」49編の一部だと・・・ふむふむ・・・Wikiで見ると49編、どれも古代中国の資料として見ると面白そう。ガダマーを通して古代ギリシャ、とくにプラトンについて学んだ後だと、古代文明同士のある種の共通性が見えて面白い。両者とも、問答や対話によって思索を深めていくんだよね、それは旧約聖書の律法と預言の世界にはない点で、だからこそ新約が求められたんだね。2023/06/18
bebe3269
11
倫理の授業で触れられたから読む。大学、学ぶ姿勢というものを感じられた実践していきたい。中庸、今まではバランスをとって生きていくことが素晴らしいことだとしか説かれていないと思っていたが誠という日本にも深い関わりがある考え方が出てきてとても参考になった。博くこれを学び、審らかにこれを問い、謹んでこれを思い、明らかにこれを弁じ、篤く之を行う。2022/09/22
よむヨム@book
9
★★★★★ 星5つ 読みながら、「学び」ながら「実践」して「反省」し、地道に進んでいくしかないと思いました。2023/10/27
大先生
8
四書シリーズ。論語、孟子に比べると抽象的というか難しい。繰り返しよむことで、少しずつ理解を深めるしかないですね。「大学」は政治学、「中庸」は道徳学とはいえ、重なる部分もあります。とりあえず、論語、孟子、大学、中庸という四書は読んだので、これで君子に一歩近づいたと自負しております(笑)。次は聖人か!2020/04/18