内容説明
まさかこんなことになるとは思わなかった―。日常に厭き果てた男が南の島へと旅に出た。ジャングルで彼は池に落ち、出られなくなってしまう。耐え難い空腹感と闘いながら生き延びようとあがく彼の姿はやがて、少しずつ変化し始め…。孤独はここまで人を蝕むのか。圧倒的筆力で極限状態に陥った男の恐怖を描ききる。緻密な構成と端正な文章が高く評価された、第16回日本ホラー小説大賞大賞受賞作「化身」ほか2編を収録。
著者等紹介
宮ノ川顕[ミヤノガワケン]
1962年、福島県白河市生まれ、神奈川県育ち。日本大学卒業後、会社員を経て、茨城県石岡市で自転車競技や釣り用のウェアを作る自営業に従事する。「化身」で第16回日本ホラー小説大賞大賞を受賞し、デビュー(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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じゅんぢ
25
賞を取った表題作よりも残りの2作品の方が面白かった。ただ、その2作品も途中で結末がある程度読めてしまう。でも、文章力があるためか、サクサク読めた。2018/01/05
miroku
19
変身もの。登場人物ひとり。この特異な状況で、よくもここまでの物語を・・・。類稀な才能に舌を巻く。2012/07/19
F
19
日常に倦み疲れ、南国に旅した男が池に落ちる。周囲を平滑な壁で覆われた池の中で、孤独と空腹にあがく彼のは姿は序々に変化していく――表題作『化身』。口裂け女が流行った時分、溜池の主、幻の雷魚を釣ろうと試みる少年は、池で首筋に傷がある白い服の綺麗な女性と出会う。女性の正体とは…初恋と郷愁の物語『雷魚』。娘に乞われて買ったインコが掛け替えの無い存在になって行く。奇妙な事を口走るインコが導く未来とは?『幸せという名のインコ』。三本の短編が纏まった一冊。大変失礼な喩えとは承知しつつも乾ルカさんに近いスタンスを感じた。2011/08/29
眠る山猫屋
14
怖いというより、やはり奇妙な味わいの物語群。『化身』は結構好きかも。彼は最後には、何になっちゃったんだろう。グルッと一周して人間に戻れたのだろうか。『雷魚』は、何だか懐かしくさえ思えるゴーストストーリー。雰囲気は非常に好み。インコの話は…やっぱり懐かしさを覚えなくもない展開ながら、最後の驚愕の一言にゾクリ。総じて将来バケるかもしれない作家さんだな、と思わされる作品群だった。2012/05/18
たか
13
短編集。どの作品もよくできてる。とくにインコの話は怖かった。2018/05/27
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