内容説明
天皇の皇子として生まれながら臣下に落とされた光源氏。だが、その類い稀な美貌の虜になった宮廷の美女たちは、源氏を惑わせてゆく。寵妃・藤壷への禁断の恋。六条御息所との燃え上がる愛。正妻・葵の上との冷えた関係。愛と嫉妬と憎悪の地獄をさまよう源氏は、ついに幽鬼のごとく作者・紫式部の前に立ち現れる。陰陽師・安倍晴明が怨霊と対峙するが…。読みはじめたら止まらない、全く新しい「源氏物語」の誕生。
著者等紹介
高山由紀子[タカヤマユキコ]
1945年東京生まれ。脚本家・映画監督。2003年、脚本・監督を務めた『娘道成寺 蛇炎の恋』でワシントンDCインディペンデント映画祭最優秀賞を受賞(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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遥かなる想い
107
12月10日に公開される映画『源氏物語千年の謎』の原作。紫式部・藤原道長が登場し、現実と物語が交錯しながら進む。ある意味大胆な構成であり、これからはこういう読み方もあるだろうと、読みながら思った。 2011/07/17
優希
85
面白かったです。現実と虚構のギリギリのところで展開する物語はまるでまやかしのように見えました。愛と嫉妬の世界を行き来する光源氏。そんな光源氏の物語を紡いでいく紫式部。菅原道長や安倍晴明も絡み、物語の世界をより怪しげな雰囲気にして行っていると思います。霊のように紫式部の前に光源氏が立ちふさがったとき、全てが幻想の中に飲み込まれたように感じました。いつしか現実の境界を超えて、夢幻の世界を彷徨っていたように感じます。不思議な世界観に魅せられました。2016/08/17
Smileえっちゃん
54
初めての作家さんです。源氏物語、一度は読んで見たいと思っていました。表紙に誘われましたが思っていたのとは違っていました。源氏物語と紫式部の現実の世界が交錯していて戸惑いましたが軽く読むことが出来ました。古典としての源氏物語を読んで見たいと思いました。その上で再読してもいいかな・・・2017/12/25
きさらぎ
34
源氏物語の世界と、書き手の紫式部の住む世界とが交錯する構成。紫式部と藤原道長の関係や、物語の中に安倍晴明が入り込んだり、とにかくややこしい。けど、光の君のモデルは道長?とか、六条御息所=夕顔説など、なかなかユニーク。面白いです。続けて下巻へ。2015/06/21
紅香
27
なぜ私を生んだ。。ことごとく愛した女性が不幸を選択するのはなぜだと物語を飛び出して紫式部に詰め寄る光の君。苦しむのにも意味があると答える紫式部。物語を最後まで知らない私は紫式部が描きたかった本質を知りたいと光の君を通して切に思う。本当に何故。。時の権力者、藤原道長の望月となぞらえて歌った野望。紫式部まで月の一欠片だったのかと視点を合わせるのも興味深い。千年も時を超えた光と紫式部の結託さは今や神にも等しい存在ということだけは理解できる。2023/07/03