内容説明
在プラハ・ソビエト学校で少女時代をすごし、ロシア語同時通訳者として活躍した著者が、鋭い言語感覚、深い洞察力で、人間の豊かさや愚かさをユーモアたっぷりに綴る最後のエッセイ集。同時通訳の究極の心得を披露する表題作、“素晴らしい”を意味する単語が数十通りもあるロシアと、何でも“カワイイ!”ですませる日本の違いをユニークに紹介する「素晴らしい!」等、米原万里の魅力をじっくり味わえる。
目次
1 親戚か友人か隣人か
2 花より団子か、団子より花か
3 心臓に毛が生えている理由
4 欲望からその実現までの距離
5 ドラゴン・アレクサンドラの尋問
6 対談 プラハ・ソビエト学校の少女たち、その人生の軌跡(米原万里vs池内紀)
著者等紹介
米原万里[ヨネハラマリ]
1950年、東京生まれ。作家。59~64年、在プラハ・ソビエト学校で学ぶ。東京外国語大学ロシア語学科卒業、東京大学大学院露語露文学専攻修士課程修了。ロシア語会議通訳として活躍し、80年、ロシア語通訳協会の初代事務局長、のちに会長を務める。著書に『不実な美女か貞淑な醜女か』(読売文学賞)、『魔女の1ダース』(講談社エッセイ賞)、『嘘つきアーニャの真っ赤な真実』(大宅壮一ノンフィクション賞)、『オリガ・モリソヴナの反語法』(Bunkamuraドゥマゴ文学賞)などがある。2006年5月、逝去(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
ヴェネツィア
423
「最後のエッセイ集」とのことだが、米原万里さんの没後2年目に、それまで未発表だったエッセイを集めたもの。なんだか新聞のコラムを読んでるみたいだと思ったら、ここに集められたものの大半は読売新聞や日経新聞に書かれたものだった。新聞ではどうしても文字数に制限があるために、伸びやかさに欠けるようだ。彼女本来の、時には毒舌を含んだ語りのキレが不十分である。ロシアの話題が頻出するあたりに特徴は出てはいるが、新聞で読むにはともかく、こうしてエッセイとして読むには、考察に踏み込みが足りず、年来の読者としては不満が残る。2021/06/08
yomineko@ヴィタリにゃん
85
米原さんの早世が本当に悔やまれる😢深い教養が散りばめられた趣のある本。日本語以外では同じ語の繰り返しは非常に嫌がられる!分かります!必死で違う語を探すw日本人の口下手は筆記試験の多さが原因?ロシアではとにかく話す事を重要視されるので米原さんも相当に修練なされたご様子。図書館に本を返すと内容をかいつまんで言わされるのは凄いwうっかり借りれないwお陰で言語能力が人より発達したのだと思う。旧ソ連では紙不足でタス通信などから余った紙を貰っていたという話を他で聞いた事がある。日本や中国は筆記の文化なんですよね📚2023/02/21
マエダ
60
言葉を大切にする人であるなと感じる。2019/03/28
おさむ
41
これまでの著作にはあまりなかった米原さんの両親のことを語ったお話が印象に残りました。批判精神の塊だった母、16年間も非合法活動に関わりながらゆったり落ち着いていた父。この親にしてこの子あり。本人が自覚しなくても子は親に似るものですね。名作「嘘つきアーニャ‥」に関する池内紀さんとの対談も読み応えあり。2016/08/13
buchipanda3
36
ロシアW杯も佳境。ロシアと言えば米原さんだろうということでこのエッセイ本を手に取った。幅広い知識から繰り出される話は興味深いものばかり。ピリッと効いたシニカルさに加えて、とてもユーモラスに語られる。エッセイの中にはW杯に関するものもいくつか。大抵の話はロシアに絡めたものになるが、歴史や文化が大きく違うので話を読んで思わずへええとなる事しきり。食器の話は唸らされた。「嘘つきアーニャ」に関する話や対談もあって嬉しい。どんなに軽妙に書かれていても、彼女の真面目で真摯な部分が滲み出ているなあと思った。2018/07/15
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- 和書
- 明日香の皇子 角川文庫