内容説明
2025年。体内に埋め込む超小型記録メディア“ヴィジブル・ユニット”の定着とともに大成功を収めた映像プロデューサー・ナカジは、『エクサバイト商會』会長から新ビジネスを持ちかけられる。世界の著名人の“ユニット”を利用した壮大なプロジェクト。しかし、ある企業が突如ライバルとして介入してきて、事態は思わぬ展開に―。近未来を予見し、記録の本質と人間の欲望を鮮烈に描いた、衝撃のエンタメ長編。
著者等紹介
服部真澄[ハットリマスミ]
1961年東京都生まれ。早稲田大学教育学部卒。95年、香港返還の機密文書を巡る熾烈な争奪戦を綴ったデビュー作『龍の契り』がベストセラーとなる(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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gonta19
104
2011/3/30 Amazonより届く。 2017/10/5〜10/11 6年ものの積読本。服部さんは、テクノロジーの進化に伴う近未来の世界に警鐘を鳴らすような作品を良く書かれるが、本作品もその一つ。情報化社会の行き着く先は果たして幸せなのか。マイクロチップの埋め込みも既に始まっており、AIスピーカーも販売が開始された。本作品で書かれている世界は決して絵空事ではないのだ。池上彰さんの解説も必読です。こういうのを読むと長生きはしたくない、と思ってしまう。2017/10/11
Tetchy
39
2025年から2119年の94年という永いスパンで語られる本書は高度化する技術の果てしない騙し合いがいつの世でも繰り返される虚しさを物語っている。歴史の証言者たろうとした者が遺した記録媒体は100年後では改竄が当たり前になった世の中で真実であることさえも疑われる。これぞテクノロジーのジレンマそのものだ。我々は人々のニーズに応えて色んな物を生み出してきたが、果たして本当に正しいものだったのか?しかしそれを求める人間、いや発想し具現化する者がいる限り、このテクノロジーの果てしのない愚かなゲームは終わらない。2014/10/23
ネペ
8
久しぶりの服部真澄作品でした。みたものを全て記録していくヴィジブル・ユニットが登場する近未来の話。サクサク読めて、面白かった。でも、「龍の契り」のような作品も久しぶりに読みたいと思った。クニコのグロテスクなアンチエイジング方法が怖かった。最後に登場した若いライターは誰なんでしょうね...(怖)。2015/10/02
ラプトル
6
以前から読みたいと思っていましたが、ようやく文庫になり手に取りました。誰もが自分の視覚情報を記録している近未来。個人の思いと国家レベルの思惑が交差します。映像機器の極小化と記憶媒体の発達によって今でもドライブレコーダーなどが実用化されてきていますが、この本ではさらに広がっています。昔、星新一氏や草上仁氏のショートショートや短編でも同様のお話しがありましたが、ここまで長編にまとめると読み応えがあります。「記録した映像をすべて観るには同じだけの時間がいる」という極めて当たり前のことから物語は大きく広がる。2011/04/24
inugamix
5
文章が細かいところまでゆきとどいてさすが安定の服部真澄。会話文にいきいきと各人の個性が醸し出されているな、でもこのへんの会話文はなんか翻訳小説調というからしくないぜと思っていたら、ちゃんと意図があってぎゃふんとなった。不自然さを描くために自然さを徹底するとか…おそろしい…。2011/05/02
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