内容説明
柳橋芸者のお玉は、山内容堂や松平春嶽など、名だたる大名たちから贔屓にされる売れっ子だが、裏の稼業があった。男に抱かれては、その相手の家紋を刺青にして体に彫る。忘れられない男たちの思い出を体に刻み、それを千個集める“千人信心”の願をかけて。だから、二つ名は「紋ちらしのお玉」。幕末を騒がす事件とともに、変わりゆく時代の波が、お玉と男たちを呑み込んでゆく。好評シリーズ第2弾は、書き下ろしで登場。
著者等紹介
河治和香[カワジワカ]
東京都葛飾区柴又生まれ。日本大学芸術学部卒業。日本映画監督協会に勤めるかたわら、江戸風俗研究家の三谷一馬氏に師事して、江戸風俗を学ぶ。『秋の金魚』で第2回小学館文庫小説賞を受賞しデビュー。2作目となる『笹色の紅』で評論家の絶賛を浴びる(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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はつばあば
60
玉勇として柳橋芸者としての矜持を持ちつつ、紋ちらしのお玉として男と床を共にする。幕末に登場するすべての有名人がお玉を通しての穴兄弟。幕末のきな臭い生麦事件や麻疹の蔓延、穴兄弟の有名人は殺人なんてお手の物、付け火をしたり、人を騙したり・・(今だにその癖は治らない現政権だけど)そんな時代だものお玉姐さんの気持ちも弱ってしまい、男に縋り付きたくなりますわなぁ。それにしても女は怖い。あの女将は公家の出だったのか。いやいやお玉さんだってかの有名なあの方のお嬢さんだったのです!。そりゃ大物がひいきにするはずですわ2018/05/30
絳楸蘭
18
前作ではあまり意識しなかったが、お玉さんの境遇とか関わる人たちが歴史を動かしていることにご都合主義だとわかっていてもビックリ。そして、千葉道場の坂本さんの正体も予想していたものの驚いた。これから一気に時代が動くなかお玉はどう生きていくんだろう。2014/05/17
カピバラ
13
時代が変わる幕末が舞台なので、なんだかお玉の周りがザワザワしていましたね。只三郎の登場で、千人信心をいとも簡単にやめると言った(暗殺を止めさせるためだろうけど)お玉にちょっっっっとだけガッカリしました(笑)お玉のちょっと角が取れたかな?もっとツッパってほしいです(笑)。2011/03/20
三平
11
時代は幕末。動乱の中に男たちは身を投じていく。 後の世で花を咲かせるも、無残に犬死にしていくのも紙一重だったことを実感。 高野長英を父に持つお玉はそんな生き方しかできない男たちを引き留めない。どこまで行っても人は孤独。どこか人に対して諦めがあるのだろうか。 何だか空しさが読後に色濃く残るそんな作品だった。2017/11/14
高橋 (犬塚)裕道
10
星3。幕末の柳橋の芸者を通してザックリとその時代の空気を描いた作品。結構面白いが、幕末の主要人物総登場で1人の芸者と(大小はあるが)関わりを持ちすぎる気がする。2019/12/30
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