内容説明
借金で首が回らなくなった勝は、強面を見込まれ、取り立て会社に身請けされる。社長の千脇は「殺しだけはさせない」と断言するが、どこか得体が知れない。ある日、勝は社長から黒牟という寂れた街の鰻の養殖場まで、60kg相当の荷を運べと指示される。中身は決して「知りたがるな、聞きたがるな」。つまり、それは一体―?忌まわしい疑念と恐怖。次第に勝の心は暴走を始め…。いまだかつてない暗黒の超弩級ホラー、登場。
著者等紹介
高田侑[タカダユウ]
1965年群馬県桐生市生まれ。2003年『裂けた瞳』で第4回ホラーサスペンス大賞・大賞を受賞してデビュー。圧倒的な筆力に裏打ちされたリアリティある人物造詣が光る、期待の新鋭(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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HANA
63
借金で首が回らなくなり裏社会に拾われた男。ある時社命で鰻養殖場に奇妙な依頼を果たしに行くのだが…。という粗筋からわかるように、怪異よりは人間、「ウシジマくん」系のホラーである。とにかく主人公の造形が秀逸で、人の意見に流されるままどんどん深みに嵌り込んでいく人間の様相が実にいい。命じられる仕事の内容がはっきりせず、食事シーンとか不穏な雰囲気が高まっていくのもホラー好きのツボに嵌る。ただラストは意外といえば意外なんだけど、読者の予想を違った意味で裏切っているなあ。エピローグの様子は追い詰められて良いが。2023/11/03
川越読書旅団
55
まずタイトルと装丁が魅力的。また、主人公を取り巻く現実と妄想のグロ世界の描写も良い。一見グロホラーではあるのだが、行間に謳われる人の性、偏見、そして諦観を鑑みるに、実は地味に深い内容だったりもする。2017/01/28
白のヒメ
40
うーん、これは中々恐い・・・。ウナギの養殖の実際の現場をテレビで見たことがある。確かに作中の表現通りだった。題名から、冒頭から、描いた予想通りの展開には違いないのだけれど、気持ち悪さは予想以上。容赦なくえげつない。やはり、こういう小説を読むと、一番怖いのは、幽霊よりも妖怪よりも、生きている人間なのだと改めて深く思うのです。2019/10/20
aqua_33
36
何か感想がうまいこと出てこない(笑)落ちる人はどこまでも落ちる、下劣な人はどこまでも下劣ってことでしょうか。人間、全うに生きていくのが一番。そんなにグロい描写はないのに読んでて久しぶりに気持ち悪くなってしまった…。黒牟の不気味な雰囲気のせいかなぁ。2016/09/25
アメマ
34
タイトルと表紙絵のインパクトが凄すぎ期待度MAX。ところが実際読むとおどろおどろしい怪奇ホラーでは無く、実話ナックルズ的な裏社会を舞台にした何ともおぞましく不気味でダークな話。果たして何が『うなぎ鬼』だったのか?という疑問符は残るが、それ以上にヤバい仕事に関わる人間達の描写が非常にスリリングで終始、心がザワザワしながら読み進めた。この筆者の文体はなかなか面白い。アウトローな闇社会で罪を罪と思わず生きても必ずツケは回ってくる。読後、陰湿でいつまでもモヤモヤとした余韻を引き摺った。☆3.52016/07/03
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