内容説明
ある秋の日、美術館学芸員が一枚の写真を携えて研究室を訪れた。それを一目見た瞬間、文字通り筆者の腰が砕けた。それは長らく喪われた作品と称されていた『象と鯨図屏風』だった。幻の屏風再発見の衝撃の顛末と人を捉えて放さないその作品の魅力を詳細に解説。『動植綵絵』『菜蟲譜』をはじめ、主要作品をオールカラーで掲載!新発見の新資料による、今までの常識を180度変える、新しい若冲像も盛り込んだ決定版。
目次
第1章 若冲デビュー
第2章 若冲飛翔する(「動植綵絵」作品鑑賞;「菜蟲譜」作品鑑賞;「象と鯨図屏風」作品鑑賞)
第3章 若冲新生
著者等紹介
狩野博幸[カノヒロユキ]
1947年福岡県生まれ。日本近世美術史家。九州大学文学部哲学科美学・美術史専攻卒業。九州大学大学院文学研究科博士課程中退。京都国立博物館をへて、現在同志社大学文化情報学部教授。伊藤若冲再発見の立役者であり、研究の第一人者(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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i-miya
51
2014.03.01(03/01)(初読、初著者)狩野博幸著。 02/27 (カバー) ある秋の日、美術館学芸員、一枚の写真、研究室、瞬間、筆者の腰が砕けた。 長らく失われていた『象と鯨図屏風』再発見の顛末。 『動植〇絵』『葉蟲譜』など、オールカラー。 新発見資料、新若冲像。 2014/03/01
リキヨシオ
33
謎の天才絵師と呼ばれる伊藤若冲の人生と「動植綵絵」など作品の解説…掲載された作品にはカラーが多い!文庫なのに見惚れる!ああッ!これらの実物をもっと見たい!青物問屋「桝源」の長男として産まれ23歳で桝源の後を継ぎ「四代目桝屋源左衛門」を名乗る。学問に酒や女に興味がなく唯一ハマったのが20代終わりに始めた絵を学ぶ事。最初は狩野派風の絵画技法を学び、次に中国画を直接見て模写を続けたが、最後にたどり着いたのは「物」を描く事だった。40歳で家督を弟に譲り隠居して画業に専念。そこから伊藤若冲の伝説が始まる。2016/08/12
あろは祭り
16
若冲研究の第一人者 狩野博幸先生による分かりやすい解説書。若冲入門編としてオススメ!その生い立ちに加え、カラーで作品も掲載。この文庫本サイズでさえも胸躍る。鶏、虫や草花を精緻に描きこむ一方で、象がなんで こんなにユーモラスなん。遊び心満載やんな~。本書とともに、いつの日か三の丸尚蔵館へ往かん、じゅんじゅわ~♪2016/11/20
しぃ
11
手に取りやすい文庫本でカラー資料豊富!「奇想の系譜」で出てきたのも多く、カラーだと印象違うなあと感動でした。文章としては、難しい単語を選んでわざと分かりにくく書いているようなザ・専門家みたいなもの(知識水準が昔の高校生並なのですみません。笑)。若冲のエピソードを幾つか知ってる状態だから楽しめましたが、話があちこち飛ぶので入門書としてはオススメできない。でも学芸員としての活躍を書かれていた発見の興奮は伝わりました。あのくだりは面白かったです。2015/12/19
夜郎自大
9
絵画を解釈するにはその画家が生きた時代や生活環境に留意すると言う観点はいいのかもしれないが、そんなことは関係なく事前知識を持たずして鑑賞するのも良いのかと思う。若冲は貧困の人であった説に基づいた画評もあったかに思うが、この本のように実は裕福で時間も金も充分にかけられたからこそ描けた、みたいな説を聞かされても。なんとも言えない残念感がある。躍動の一瞬を捉える静止画としての切り口が私は印象的である。一方で後年は少し変わった切り口であるところが歳をとってもチャレンジしている感がして面白い。2021/08/31
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