内容説明
風にそよぐドレスの衣擦れや、笑いさざめく人々の楽しげな会話まで聞こえてきそうな、柔らかな筆づかい。世界中で愛される多くの作品を残したルノワール。画面から溢れんばかりの光と色彩は、どのように生み出されたのか?幸福の画家とも呼ばれる巨匠の人生に深く迫り、隠された若き日の葛藤から作風の変化にともなう危機の時代まで詳しく解説。近代絵画史に残された大きな足跡をたどるエキサイティングなガイドブック。
目次
第1章 画家になることを目指して(一八六〇年代までのルノワール)
第2章 「印象派」の画家ルノワール(一八七〇年代のルノワール;印象派展へ)
第3章 模索の時期(一八八〇年代のルノワール)
第4章 評価の確立にむけて(一八九〇年代のルノワール;二十世紀に入ってからのルノワール)
著者等紹介
賀川恭子[カガワキョウコ]
学習院大学文学部哲学科卒業、同大学大学院人文科学研究科博士前期課程修了、後期課程単位取得満期退学。現在山梨県立美術館学芸員(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
はせこー
8
暖かい色づかいな作品が多いルノワール 好きな作品が多い画家の一人2017/04/29
ティス@考える豚
7
1860-1920を彩った印象派を代表する一人。女の子が可愛らしいです。可愛いは正義です!ウジェーヌ・ドラクロワが好きで、特にアルジェリアのハーレムを描いた『アルジェの女』が好きだったので、ルノワールがそれを参考にした絵を描いていたというのは嬉しいですね。色彩が非常に好みです。淡い感じの塗り方なのにひとつひとつの色が美しさを主張してます!晩年のルノワールの絵、家族を描いた絵にしんみりとしました。歴史上の人について知るのはこれだから楽しいです。2013/01/12
圓(まどか)🐦@多忙のためほぼ休止中
4
オールカラー。画家の年齢順に絵の変遷を忠実に追いわかりやすいです。ピサロがルノワールを「素描の才能がない」と評していたのも発見、そしてモネの絵との比較でそれぞれの関心の方向性への指摘も面白い。何よりこの本でもう何年も前だけどルノワール展で有名作の現物を沢山見て言語化できない感動を味わった気持ちが蘇りました。2023/03/09
彼岸花
4
ルノワールの学習に、最適な本でした。一生、好きな絵を描き続けた(晩年、病気になっても)信念や信条は誰もまねできません。今後も「幸福の画家」であり続けることでしょう。表紙の絵がまた素敵です。2017/05/09
rapo
3
昨年のルノワール展を回想しながら読んだ。息子や妻の絵も多数あり、家族への愛情が感じられる。光を浴びた明るい色彩や透明感はまさに幸福感溢れていて見る者を虜にしてしまう。晩年は病気で不自由な体になっても描き続けたが、その絵の明るさは変わらず、気迫のようなのものを感じる。ピアノを弾く娘たちの絵が大好きだが、国が高額で買い取ったがルノワール本人はあまり気に入ってなかったらしく意外だった。2017/03/09