内容説明
外資系投資ファンド会社勤務の野上妙子が休暇明けに出社すると、所属部署がなくなっていた。ただ1人クビを免れた妙子は、支店長から「日本地熱開発」の再生を指示される。なぜ私だけが?その上、原発の陰で見捨てられ続けてきた地熱発電所をなぜ今になって―?政治家、研究者、様々な思惑が錯綜する中、妙子は奔走する。世界のエネルギー情勢が急激に変化する今、地熱は救世主となれるか!?次代を占う、大型経済情報小説。
著者等紹介
真山仁[マヤマジン]
1962年大阪府生まれ。同志社大学法学部政治学科卒業。読売新聞記者、フリーライターを経て小説家に。2004年、熾烈な企業買収の舞台裏を描いた『ハゲタカ』でデビュー(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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あすなろ
117
我が国には地熱発電があるじゃないか!その秘めたるポテンシャルを知らぬ人は多い。僕も一年前迄知らなかった。真山氏も知らぬ側の方だったご様子。そのビジネスモデルをこの作品で組み立ている。僕は今、再生エネルギーという枠組みのビジネスには関しては、世間よりは詳しいという状況にいるが、なかなか唸らされる一面が多々あり勉強にもなった。ビジネス小説としても秀逸。但し、ワザとと思うが、土地権利関係の記述が一切ない。ここを書いたら小説として脱線可能性があるからだろうな。続編を希望致します。現状はかなり変わっていますから。2016/10/16
AICHAN
90
図書館本。「3.11」以前に原発を批判し地熱発電に目を向けた小説。地熱発電は仕組みは簡単だが投資額が大きいし地熱発電に適した土地の多くが国立公園内なので建設が難しいことであまり伸びない。しかし、原発などと比べればこれほど安全で有効な発電もない。火山国日本では原発よりも推進すべきものだろう。発電コストも原発が一番安いように言われているが、使用済核燃料の処理費用などを含めれば原発は決して低コスト発電ではない。といったことを言いたい小説なのだが、大きな山場もなくだらだら続く。それでもずんずん読ませる筆力は凄い。2018/08/12
アッシュ姉
73
東日本大震災後にようやく注目されつつある地熱発電。原発に代わる自然エネルギーとして普及していくには、まだまだ道のりは遠い。火山の多い日本は世界有数の地熱資源国であるにもかかわらず、充分に活用できていない現状。その理由が非常に分かりやすく展開されている。探査や開発に多額の費用と長い期間を要し、国の規制や温泉地からの反発、電力会社との兼ね合いなど越えなければならない障害も多い。それでも安全に勝るものはないと強く感じた。神の火・原発を利権とともに手放し、エネルギーも運用もクリーンなものになることを切に願う。2015/12/24
かんらんしゃ🎡
61
★多額の税金投入。電気料金へ処理費上乗せ。原発コストはかなり高いはず。そのうえ疎開先でのいじめなどコスト外の問題もある。なのになぜ、政治家は目先に囚われ10年先のビジョンを示さない。地熱とメタンハイドレート。政策と予算を割り振れば日本は豊かな資源国になる。これで財政問題も年金破綻も水蒸気のように消えてなくなるのに。2016/12/16
ゴルフが好き
60
地熱発電小説です。 2011年の原発事故後に書いた小説かと思いきや、何と2008年刊行でした。 どのようにして原発族が、自然エネルギー開発の邪魔をしていたのかは、他書籍にて気づいてはおりましたが(それも原発事故以降の話です)、真山さんが事故の3年前にこのような啓発をしていたことには驚きます。 皆さん、是非ご一読を。2016/08/25
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