内容説明
サンタさんにお願い。クリスマスにおかあさんを届けて。高校3年の夏、携帯電話に残された過去からの留守メッセージに導かれて、佐倉有海は学校一の問題児・春川と出会った。心に同じ欠落を抱えた2人は互いの傷を埋めるように惹かれあうが、それはあまりにも拙く刹那的な恋だった。時を超えた留守電の真相が明かされる時、有海の衝撃の過去が浮かび上がる…。痛々しくて、たまらなく愛おしい、涙のラブ・ストーリー。
著者等紹介
壁井ユカコ[カベイユカコ]
沖縄出身の父と北海道出身の母をもつ信州育ち、東京在住。学習院大学経済学部経営学科卒業。第9回電撃小説大賞「大賞」を受賞し、2003年『キーリ 死者たちは荒野に眠る』でデビュー(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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絹恵
28
夏の夜に咲いた花の面影を散らせぬように、焼き付けたかったです。口寂しいならキスで埋めるから、肩を震わせて泣いていたら抱きしめるから、四季もいらないから、あなたにいてほしい、と心がえぐられるような想いに満ちていました。あなたが未来を祈ってくれたように私も、手を伸ばした先からぽろぽろと零れ落ちてしまうあなたの未来に触れたかったです。余熱も残響も苦しくさせます。2014/07/07
まいっ♪
27
本当に心が擦り切れそうな恋物語。 同じ欠落を抱えた二人の”今を生きる気持ち”、この一瞬、刹那を生きていく、共に居たいという気持ちが切ない、痛々しい。お互いの穴を刹那的に埋めていく春川と有海。そして最後はもう感涙にむせびました。本当に愛おしい涙のラブ・ストーリーでした。 この作品に巡り合えて本当に良かった。2011/02/09
ありんこ
16
「鳥籠荘」シリーズを読んでいたので、興味があって買ってみました。壁井さんの作品って、現実にいるのに、どこか現実じゃないような不思議な感覚で読めるので好きです。春川もかっこよかったけど、航兄もいいなあ。でも、日野ちゃんの無神経さは、最後まで好きになれなかったなあ。2012/03/09
赤い肉球
12
初読み作家さん。切ない!泣いた!悲しい境遇の二人。そんな二人が知り合ってしまったのは、やはり運命、ということなんだろね。それにしてもなんとも言い様の無いエンディング。まさかそうなっちゃうとは…。個人的には再会して欲しかったなぁ…。また読みます!2014/09/07
雨ヨ@感想後まわし;
12
同じ傷を持った男女がその傷によって惹かれあった。二人の寄り添い方が危なっかしくて不安定で、でもお互いを必要としてることがわかるので引き離せない。航兄も言ってたけど二人は似ているのでどうしても欠けている所を埋められない。あのまま行ってもどうなってたか分からない。だけど最後の電話は切なくて涙が溢れてしまった。2010/09/08