内容説明
「J・Mを殺したのは誰か?」―巨大な才能と劣等感を抱えたマッドサイエンティストは、五人の子供に人体改造術を施し、“怪物”と呼んで責め苛む。ある日、惨殺死体となって発見されたJ・Mは、いったいどの子供に殺されたのか?小説家の「私」と探偵の「彼」が謎に挑めば、そこに異界への扉が開く!本格ミステリとホラー、そして異形への真摯な愛が生みだした、歪み真珠のような三つの物語。
著者等紹介
綾辻行人[アヤツジユキト]
1960年京都府生まれ。京都大学教育学部卒業、同大学院博士後期課程修了。87年に『十角館の殺人』で作家デビュー。これを引き金に巻き起こった「新本格ムーブメント」は、推理小説界の一大潮流となった。92年には『時計館の殺人』で第45回日本推理作家協会賞を受賞。「館」シリーズを代表とする本格ミステリを書き続ける一方で、ホラー小説にも意欲的に取り組んでいる(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
三代目 びあだいまおう
172
精神病棟で綴られる3編の綾辻作品。どれも日記風で占められる頁が多いので、一気に読めます!いやぁさすが綾辻先生、グングン曳き込まれます❗大人になると減るんだけど、子供の頃って怖い夢見ちゃうと寝られなくなったよね。寝たら夢の中の世界に引き摺り込まれるもん、絶対!とか、昔の鮮明な記憶が知らない内に変化してるとか。脳は、現実と幻想を本質的には区別できない。だから、空想も生まれイマジネーションも湧き科学の発展にも繋がってるんだけど、それ、人間だけだよね❗全生命体の中で人間こそが異常な『奇形』!怖いよある意味‼️🙇2018/10/26
風眠
164
精神科病棟に入院している患者を題材にした物語。綾辻行人の本を読んだのはこれで2冊目だが、分かりやすい言葉で書かれているから、心にすいっと入ってきやすい文章で、そしてとてもエレガントだ。「あなたは病んでいます」という、普通である、普通じゃない、という線引きは誰が決めたのだろうか。何をもってそう分けられるのだろうか。つまりは数の問題なんだろうか。そもそも、普通の定義って何? 語り手までもが信用できない、曖昧さに翻弄される中短編集。2012/03/30
nobby
161
あっさり読ませて最後にゾクッとを楽しめる快作。精神病棟を舞台にしての短編3つは、表紙から勝手に想像するホラーよりも、心情かき回されて震える感じのミステリ色が強い!物語序盤から、日記とか手記として描かれる構成が感情移入させるのに効果的で読みやすい。最初の三一三・四〇九号室の患者扱う2篇でのラストひっくり返しは大好き♬何と言っても最後の五六四号室、J.Mに芋虫など乱歩要素にニヤリに加えて、畸型者〈フリークス〉続々登場の不気味さは半端ない。そこから最後に導き出される怒濤の解決編で魅せる鮮やかなお手並みはお見事!2020/04/15
ダイ@2019.11.2~一時休止
159
精神科病棟の短編集。四〇九号室の患者は既出。畸形をキーワードとした怪しい雰囲気がイイ。2013/11/25
あも
118
悪魔の手/四○九号室の患者/フリークス。精神病院の患者を主人公にした3つの中編。はぁー、好きだなぁ。いいなぁ、と思わず溜息。日記形式というか、各患者の手記が効果的で、これは本当のこと?狂った妄想?と最後まで興味を逸らすことなくオチまで連れて行かれる。そしてそのオチがまた良い。現実と妄想がひっくり返るというよりは境界線がぼやけて入り混じるような感覚。表題作に限らずどれも異常さや狂気を描いているのに、読後には切なさが残る。どれも良かったけど、綾辻氏の異形、狂ってしまったものへの愛を強く感じる表題作が一番好き。2018/09/21
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