内容説明
高句麗侵略に失敗した隋では、煬帝の圧政に対し内乱が拡大する。日中の対等な国交実現をめざす高向玄理と南淵請安も、理想に燃えて革命運動に身を投じた。大和朝廷では、高句麗・百済との同盟を推進する聖徳太子と、新羅と組んで権力保持を目論む大臣・蘇我馬子の対立が表面化しようとしていた。帰国した小野妹子は、増長する馬子を牽制すべく太子を支えるが、斑鳩の宮に暗雲が垂れ込める。一級の歴史エンターテインメント。
著者等紹介
八木荘司[ヤギソウジ]
1939年、兵庫県生まれ。京都大学文学部卒業。63年、産経新聞社入社。大阪本社編集局社会部長、同編集長、東京本社論説委員長、編集特別委員を歴任。産経新聞に長期連載した『古代からの伝言』シリーズは、ノンフィクションの手法で「日本書紀」の世界を再現し、反響を呼ぶ。有沢創司の筆名で『終りなき伝説―ソニー大賀典雄の世界』、フィクション作品に『ソウルに消ゆ』(第5回日本推理サスペンス大賞受賞)などがある(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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レアル
52
時代も隋から唐に移り変わり…と、この著者は物語の舞台となる時代背景は平易ながら本当にきちんと描いてくれているので、読んでいてどのように移り変わったかがよく理解できる。そしてその移りゆく古代東アジアを舞台に太子と馬子の2大勢力を軸に描く倭国との外交物語は本当に素晴らしいと思う。ただ今はフィクションではなく史実モノ読んで歴史を確認したいので、「青雲の大和」&「大和燃ゆ」はまた別に機会に!2019/01/08
TheWho
19
下巻に入り隋の滅亡と唐の成立と支那世界では時代の変遷が著しく起こり、それに伴い遣隋留学生の葛藤が浮き彫りにされていく。そして舞台は、日本国内に移り聖徳太子派と蘇我馬子派の対立が、後の大化の改新の序章とも言える展開にも思え、古代の革命的伊吹を感じさせた。大化の改新前の飛鳥時代、日本の革命的変遷前の葛藤をありありと描写している物語となっている。聖徳太子自らは登場しないが、飛鳥時代の日本の有り様が感じられる物語です。著者次作の「星雲の大和」も楽しみです。2015/03/06
若黎
5
意外と面白かった。李世民がでてきたからかもしれないが。 さて、続きはどうしようかな。2023/04/14
depo
4
新羅から賄賂を貰い、国策を変えてしまう蘇我氏の専横、それに立ち向かう聖徳太子。聖徳太子を慕う小野妹子。そして聖徳太子薨去する。聖徳太子は毒殺されたのか?現代のわが国にも中国に行って歓待を受け、中国の代弁人になってしまう官僚や国会議員がいるかいないか。2021/06/08
けんちきまる
3
歴史は繰り返されるのだなあと感じました。今、まさにタイムリーだなとも思いました。敵の身内の中の野心家を味方に引き入れる方法は、千年以上前から変わらないのだなあ。面白かったです。2011/11/28