内容説明
昭和二年春、時の大蔵大臣・片岡直温は、議会で「渡辺銀行が破綻」と失言、これをきっかけに東京渡辺銀行は倒産した。飛び火した取り付け騒ぎは銀行の連鎖倒産を招き、金融恐慌が勃発する。銀行はなぜ倒産したのか?放漫経営、脆弱な財務体質だけが原因だったのか?当時の政・官・財界の動きや関係者の証言を検証し、その真相に迫るとともに、裏に潜んだ政治的思惑、官僚の無責任体制を暴くドキュメント。
目次
昭和二年三月十四日
絵筆を握る経営者
先祖の墓前で死にたい
いくつかのイフ
蔵相答弁の顛末
「賢兄愚弟」か「愚兄賢弟」か
片岡直温の覇心
政友会と憲政会
渡辺一門、栄華の夢
銀行家の責任
狂乱の春
その後の東京渡辺銀行
預金者たちの無念の声
かつて「渡辺町」があった
金融恐慌と現在
著者等紹介
佐高信[サタカマコト]
1945年、山形県生まれ。慶応義塾大学法学部卒業。高校教師、経済雑誌編集長を経て、現在、評論家として活躍中
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感想・レビュー
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Terry Knoll
3
昭和2年大蔵大臣が国会予算委員会の席上、「とうとう銀行が破綻を致しました」と名指しでの失言が取り付け騒ぎを招き、関東大震災後弱っていた中小の銀行が破綻。昭和恐慌の一因となった顛末を、大臣側と銀行側から描いたノンフィクション。 起業家が自ら銀行を資金源として設立、むりな融資を進めるようになり、震災復興債権が焦げ付き弱体化。 この失言無くても早晩多くの銀行が破綻する状況になっていたの真実です。 その後、満州事変(昭和6年)の特需で景気は回復します。ちゃんとつながっていますね。2015/03/10