内容説明
「ごめんなさい。やっぱり私はあいつと戦います」平凡な高校生・山本陽介の前に現れたセーラー服の美少女・雪崎絵理。彼女が夜な夜な戦うのは、チェーンソーを振り回す不死身の男。何のために戦っているのかわからない。が、とにかく奴を倒さなければ世界に希望はない。目的のない青春の日々を“チェーンソー男”との戦いに消費していく陽介と絵理。日常と非日常の狭間の中、次第に距離が近づきつつあった二人に迫る、別れ、そして最終決戦。次世代文学の旗手・滝本竜彦のデビュー作、待望の文庫化。
著者等紹介
滝本竜彦[タキモトタツヒコ]
1978年、北海道生まれ。ひきこもりが高じて大学を中退し、輝かしい青春のひとときをフルスイングでドブに投げ捨てる。2001年、第五回角川学園小説大賞特別賞を受賞した『ネガティブハッピー・チェーンソーエッヂ』でデビュー
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感想・レビュー
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nanasi
84
カバーデザインは安倍 吉俊さんです。西尾 維新さんが解説をしています。巻末にあとがきが収録されています。とても読みやすい作品でした。加藤先生や寮母のお姉さんの話は考えさせられました。2013/06/13
中玉ケビン砂糖
72
、その異色すぎる経歴と、マンガ、アニメ化など大規模なメディアミックスが展開された『NHKにようこそ!』でかなり有名になってしまった著者だが、デビュー作のコレがいちばん良いんじゃないかと思う、『僕のエア』などは未読なのでわからないが、若者特有の虚無感が冴えてたり、人気作なんかよりはるかにドライな雰囲気が快い、なんというか変な言い方になってしまうが、「たまたまできただけで俺は読者とかにおもねらねーから」みたいなグルーヴがガンガンに前に出て主張してくる感じが潔くて吉、つーか、この感想も特に何も言ってないな、、、2015/01/12
PSV
51
青春小説の傑作、と言っても良いだろうか。素敵な作品ではある。でもこれ、構造的には「Kanon」の舞ルートじゃね?とか思ったり思わなかったり。チャーンソー男が何者なのか、誰かと議論でも交わしたいところだが、それをするにはあまりにボクは年をとりすぎたと思う。確実に、賞味期限、消費期限のある作品。若く青い方々は、積極的に読むのをオススメしたい。 ★★★☆☆2012/08/19
おかむー
43
2001年の“次世代文学の騎手のデビュー作”ですかそうですか。『可もなし不可もなし』。半端に利口で半端にドロップアウトしきれない思春期真っ只中の高校生が、半端に人生の閉塞感に絶望して半端に謎のチェーンソー男と美少女との戦いに加わり、半端に決意して半端なハッピーエンドを迎える。チェンソー男との戦いという要素を省いたら真っ当な青春小説といえるのだろうね。物語としてよくまとまってはいるのだけれど、主人公のうだうだ感がいかにもなラノベ調なところでげんなり。特定の世代がタイミングよく読んだら響く作品かな2014/08/06
神太郎
39
懐かしくて再読。平凡な男子高校生の目の前で正体不明・不死身のチェーンソー男と女子高生が戦うというこのシチュエーション聞いただけで心惹かれるならハマる。高校生特有の何かよく分からない不安。それを何とかしたくてもがくんだけど上手く行かなくて…。大半はなぁなぁでいつの間にか過ぎ去るんだけど、本当にそれでいいのか?っていう拗らせ感を青臭いととるか。そんな漠然とした不安の集合がチェーンソー男なのだとすれば山本も絵理も何かを変えたくて(山本は絵理がいるからなんだろうけど)対峙することを選ぶ。それも大人になる方法。→2021/12/12