内容説明
「あなたは余命6ヶ月です」。人によって、普段の生活のなかで大切にするものが違うように、突然、病によって人生の期限を区切られたときの行動もおのずと十人十色に分かれる。「余命6ヶ月以内」の診断によって、生前に最高3千万円程度の死亡保険金を受け取ることができる「リビング・ニーズ」という保険。従来の生命保険は、自分が死んだ後に保険金を家族に残す、つまり死んでから遺族が受け取るのが基本だった。「死」を前にした大金。本書はそれを現実に手にした5人の患者の人間ドキュメントである。
目次
序章 お金がないと満ち足りた最期も望めないというのは本当か。
第1章 「わたしが死んだらあなたがホッとできるのがうれしい」
第2章 在宅死を選んだ妻と夫。ひとすくいのアイスクリームが末期の水だった。
第3章 死の前夜、長男に託した借金ノート。母は、後ろ姿で子供たちに人生の意義を伝えようとした。
第4章 本人請求第一号の患者が最初の半年を生き延びてからの五年間の闘い。
第5章 “余命一日”の思いで淡々と、そして自分らしく悔いのない生き方を貫きたい。
終章 生きながらミイラとなるか。ミイラとなるまでは人として生き切るか。
著者等紹介
堀ノ内雅一[ホリノウチマサカズ]
1958年、北九州市小倉生まれ。ノンフィクションライターとして、「女性自身」誌の人物ドキュメント・コーナー「シリーズ人間」をはじめ、生活人の視点でさまざまな社会現象・事件のなかに息づく人物にスポットを当て取材を続けている
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。
感想・レビュー
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うたまる
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「人間、最後の最後になって、そんなにたいそうなことをやりたがるもんじゃない」……生命保険のリビング・ニーズ特約を使った余命6ヶ月のガン患者5名のドキュメンタリー。人生の最後に人は何をしたいのかに関心をもって読み始めたが、驚くようなことは何一つ無かった。だからつまらない、と言いたい訳ではない。気になっていた借金を返済し、家族のために家を改築し、負担となっていた医療費に回す、という生真面目な日本人らしいお金の遣い方だった。尚、終末医療、余命告知、医療費負担などに話題が広がり散漫になるが、これはこれで良かった。2015/08/10