内容説明
「サウダージ」、それは、失われたものを懐かしむ、さみしい、やるせない想い―。日本人の父とインド人の母の血をひく裕一。若いパキスタン人労働者シカンデル。日系四世のルイーズ。裕一の行きつけのバーの雇われママ、フィリピン人女性ミルナ。それぞれが癒しがたい喪失感を抱きながら、東京に流れ着き、出会い、そして別れていく。人々の胸に去来する、やるせない想いを描く傑作長編。
著者等紹介
盛田隆二[モリタリュウジ]
1954年、東京生まれ。85年「夜よりも長い夢」で早稲田文学新人賞入選。90年『ストリート・チルドレン』(講談社/新風舎文庫)が野間文芸新人賞候補に。92年には『サウダージ』(中央公論社)が三島由紀夫賞候補となる
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感想・レビュー
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おしゃべりメガネ
159
だんだんと盛田さんの作風に慣れてきた感じがします。なんとなく気のせいか村上春樹さん的な感じがします。前に読んだ『ラスト・ワルツ』もそうですが、どうも主人公の男性が優しすぎるのが微妙な感じです。優しさはもちろん必要なのですが、それは本当に相手に取って必要とされる優しさなのかなぁと疑問に感じる場面も少なくありません。そして登場する人物にどうも厄介なキャラが多すぎるような気がします。女性も男性ももう少し普通に生きてくれないかなと。ボリュームが少ない作品しか読んでいないので、そろそろ本腰入れてチャレンジですね。2016/10/10
ミカママ
148
ひさびさの盛田さん作品。同じ時代に、裕一と同じ場所を歩いていた私には、この作品の静けさが身にしみてきます。逆に言うと、当時(バブル崩壊直前)のあの土地(青山・表参道)を知らない若い世代には、ちと難しいかも。静かで、退廃的で、そして主人公のストイックな感じがとっても印象的でした。裕一がボンベイで、彼の探しているものに出会えますように。2016/02/15
とくけんちょ
56
日本とインドのハーフが主人公、日系人、パキスタンなど多種多様の登場人物。人種の混み合い具合に負けず、人間模様も混み合って、こんがらがっている。根底にあるのは、主人公のストイックさと母親への想い。どうしようもない人達ばかりなんだけど、誰もがちゃんと悩んでる。どこかに真剣さが潜んでる。そこが魅力かな。2019/10/14
choco
31
サウダージ。失われたものを懐かしむ、さみしい、やるせない想い。外国人労働者のお話。主人公、裕一は一体何がしたかったのか。。。2015/06/02
まさきち
26
正直共感もできず、不完全燃焼で終わった一冊です。 設定の複雑さに満足してそこで終わってしまっているような、残念なお話しでした。2014/08/17