内容説明
『落窪物語』は、笑いの要素や会話が多く、スピート感あふれる文体が魅力的な作品。下巻には、解説のほか、全体を通して問題になる事柄を「補注」として一括して掲げ、参考資料として『風葉和歌集』所載和歌・脚注引用和歌歌集・作品別一覧、さらに和歌初句索引・重要語彙索引を付した。豊富な参考資料を収載した現代語訳付き決定版。―姫君を救出したのち、姫君の夫道頼は継母に執拗に復讐を続けるが、「復讐が終わったら孝養をつくす」と宣言していた通り、その後、父と継母の一家に非常な幸運をもたらす。
目次
巻3(中納言、三条殿に移る準備を進める;衛門督と衛門、邪魔をしようと計画する;衛門督、姫君に、三条殿移転を勧める;衛門、中納言家の侍女たちを集める;中納言家の侍女たち、二条殿に集まる ほか)
巻4(大将、重病の中納言に大納言を譲る;中納言、大納言任官を喜ぶ;新大納言の喜び申し;姫君、病いに臥す大納言を見舞う;大納言、遺産を分ける ほか)
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
しゅてふぁん
57
継母のいじめも道頼の復讐とその後の孝行の様子も落窪のシンデレラっぷりも、全てが振り切っていて凄い。分かり易いと言えばそうなんだけれど、そこまでしなくてもと思ってしまう。でも継母のキャラが終盤までブレていなくて落ち着く。それにしても‘煩雑なので詳しくは書かない’とか、‘暇がないので書かない’とか…後半になると作者もめんどくさくなってきてる?!下巻ではそれが一番面白かった。2019/05/26
凛風(積ん読消化中)
9
上巻であからさまな継子いじめを楽しんでいた継母は、下巻で思いっきり復讐された後、まぁまぁ大切にされて、そこそこ幸せになりました。と言ってしまえばそれまでですが、やはり、通い婚って不思議。いじめられていた「落窪の君」は通って来た少将に助けられて、新しい邸を与えられ、とんとん拍子に昇進する夫のお陰で幸せになるのだけれど、いじめられていても、男性が通えてしまう状況が、日本って緩いのよね。継母への復讐も本人より夫の方が乗り気で、その方法が子供っぽいし、古典のイメージとはかけ離れたスピーディな展開は楽しかった。2023/03/25
刹希
3
復讐からの献身的な世話が良い。継母は落窪君を憎んだり有難がったり忙しなく良い味だしてましたね。まさか登場人物が亡くなるまで話が続くとは思わなかったので読んでてすっきり。2015/08/16
まゆき
3
少将の落窪愛する気持ちゆえ、北の方への復讐心はなかなかでした。そしてそれに「そうだそうだ!」と同意する阿漕も可愛い(笑)「北の方に復讐しないで」とシクシク泣く落窪よりも、「愛する妻が散々苛められてたのだ」と意気揚々と復讐計画を立てる少将のほうが人間味があって好きです。そして面白いほどに出世していく!落窪と少将、なんだかんだバランスが取れているのかもしれません。最後もまとまりがあって良かったです!2015/07/25
うわばき
3
皆(?)幸せになれてよかったです!継母も、一旦和解(…?)したあとはなんだか、良いキャラしてるなあ、という感じで憎らしくもないし(笑)シンデレラ見たく、一方的にやっつけて終わり、じゃないので後味がいいです。しかし、平安の人たちはこんなに単純だったのでしょうか?物語だから…?2013/08/27