内容説明
失われつつある地名を手がかりとして現地に足を運び、地元の人々の口から丹念に地名を聞取る。聞取った地名を地図に落とし、その土地に関わる生活を記録する。人々の営みが刻みこまれた地名は、地域の景観を復元する貴重な歴史史料だ。ふだん何気なく見過ごしている地名にじっと目を凝らしてみれば、失われた風景が浮かび上がってくる。身近な地名が語りかける、いにしえの声に耳をかたむけると、先人のたゆまぬ歩みが蘇ってくる。豊かな歴史が込められた地名の世界をたのしむ一冊。
目次
序章 地名の解釈法
第1章 地名の史料学
第2章 地名を歩く
第3章 歴史地図の読解
第4章 地名による歴史叙述
終章 地名研究入門
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
パリティ。
3
町の外側に風呂屋、旦過屋、町の中には傾城屋、白拍子。これがみ仏の世界なのだろうか。おそらくは為政者は社会の下層部門にも職を与える必要性を感じていたのでしょうね。下層部門がそれなりに満足している体制は概ね良い統治体制であるためでしょうね。2024/12/05
パリティ。
2
難しく考えれば考えるほど地名は難しくなっていく。土地の言葉を使ってシンプルに考えればいいのです。2024/11/30
どすきん
0
「いやぁ、楽しいよね」と言われても、ついて行けない。
Eiji Nanba
0
フィールドワークによる研究の成果をまとめた一冊、と言ってよいと思う。本書の多くの部分は九州地方の記述だが、これは著者がこのあたりを主たるフィールドとして調査してきたことにもよるだろう。本作を読んで、地名のもつ歴史上の、しかもそこに息づいていた人々の生活上の意味を表現した「地名」について、自分の身近なところから聞き取ってみたい思いに駆られました。2019/12/22