出版社内容情報
自分の子供が殺されたら、あなたは復讐しますか?長峰重樹の娘、絵摩の死体が荒川の下流で発見される。犯人を告げる一本の密告電話が長峰の元に入った。それを聞いた長峰は半信半疑のまま、娘の復讐に動き出す――。遺族の復讐と少年犯罪をテーマにした問題作。
東野 圭吾[ヒガシノ ケイゴ]
著・文・その他
内容説明
長峰の一人娘・絵摩の死体が荒川から発見された。花火大会の帰りに、未成年の少年グループによって蹂躪された末の遺棄だった。謎の密告電話によって犯人を知った長峰は、突き動かされるように娘の復讐に乗り出した。犯人の一人を殺害し、さらに逃走する父親を、警察とマスコミが追う。正義とは何か。誰が犯人を裁くのか。世論を巻き込み、事件は予想外の結末を迎える―。重く哀しいテーマに挑んだ、心を揺さぶる傑作長編。
著者等紹介
東野圭吾[ヒガシノケイゴ]
1958年、大阪府生まれ。大阪府立大学工学部卒業。エンジニアとして勤務しながら、85年『放課後』で第31回江戸川乱歩賞を受賞しデビュー。99年『秘密』で第52回日本推理作家協会賞、2006年『容疑者Xの献身』で第134回直木賞を受賞(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
Tetchy
888
人を殺すと云う事の意味を問う問題作だ。毎日報道される数々の事件をただのニュースの一つとして捉えて、我々は時に関心を持ち、職場や家族で話題にしながらも数分後には次の話題に移っている。それは無関心というわけでなく、事件そのものを深く知らないゆえに。新聞でたった数行で語られたり、TVのワイドショーで数分取り上げられる事件の中枢を知らないからこそ、毎日を平穏に過ごせるのだ。物語の舵を取った時からやりきれなさが残ると想像される物語の行く末を見事に結末に繋げる作家東野氏の技量は改めて並々ならぬ物ではないと痛感した。2014/02/11
ヴェネツィア
786
迫真力、流れる時間の緊迫度は共に東野圭吾の作品の中でも群を抜く。「追う者」は同時に「追われる者」であり、警察はその両者を追う。しかも、それが単線的に進行してゆくのではなく、曲折が作品に膨らみと潤いとを与えている。ことに和佳子の存在がそれである。誠の設定も上手い。主題もいたって明瞭だ。ただ、このような書き方であれば、読者の共感は当然のことに長峰に寄り添うことになるだろう。それにしても物語は只管にスリリングである。結末に漂う哀愁感も見事。数ある東野作品の中でも、最上位に位置づけられるものの一つだ。2021/01/05
Kircheis
616
★★★★☆ 再読。 娘をレイプされた上に殺された父親が犯人の未成年に対し復讐を企てる話。 主人公の心情が痛いほどに分かり、なんとか復讐を成し遂げさせてあげたいって気持ちになった。 少年法のあり方についても考えさせられる。しかし、初めて読んでから10年以上経つが、まさか自分が少年事件を専門の仕事にするようになるとは当時は想像もしてなかった(^^;) 読後感は重く、悲しい。2019/05/01
射手座の天使あきちゃん
537
【多少ネタバレ】 う~ん、この結末が良識ある作家としての限界? それとも様々な課題を抱える少年法へ、あえての一石なの? どっちなんでしょか東野さん? 長峰さんでなくとも、こんな卑劣・低俗・粗暴な犯人は許せない 「死を持って償え!」と言うことは小説であっても許されないのでしょうか、私はそれを望みたかった (>_<)2012/12/30
どんちん
476
重いお話でした。被害者の思いという点では、「手紙」の裏側というイメージもありますが、本人曰くそれほど簡単ではなく、「天空の蜂」に近いとのことです。なるほど、確かに読中・読後に感じた重さはそれかもしれません。単純に復讐劇とはならず、被害者、警察、関係者のジレンマが伝わる作品だと思います。なるほどと思ったのは、「密告者」。彼がするには、ちょっと無理があるけど、そこはまぁ目をつぶるか?と思っていたら、やはり、妥協なくしかっりテーマにそって作り上げてありました・・・さすがです(笑)2012/11/21