内容説明
韓非子は、法による厳格な支配を主張する法家思想の大成者。秦の始皇帝に「この作品の作者に会えれば死んでもよい」とまで言わせた思想は、現代にも通じる冷静ですぐれた政治思想である。「矛盾」「守株」など、鋭い人間観察によるエピソードとともに分かりやすく語られる。
目次
第1章 孤独な思想家―法術の士(説難篇;孤憤篇;問田篇)
第2章 支配の技術―「法」と「術」と「勢」(定法篇;二柄篇;難勢篇)
第3章 人間の分析―人間観と世界観(備内篇;外儲説左上;五蠹篇;大体篇)
著者等紹介
西川靖二[ニシカワヤスジ]
1952年大阪市生まれ。大阪市立大学大学院博士課程修了。龍谷大学教授。中国古代思想史を専攻し、「漢初書における黄老思想の一側面」(東方学)、「『韓非子』解老篇の分析」「暗殺者の哲学―『史記』刺客列伝の分析」(以上龍谷紀要)などの論文がある(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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- 評価
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感想・レビュー
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にいたけ
46
戦国時代の思想家は自分の考えを採用してもらうために諸国の君主に説いて回りました。韓非子もそういう思想家でした。気分によって態度が変わる君主の相手は命がけ。それに敵も多い。足のひっぱりあいばかり😅そのリスクを負ってまで何故?そこのところがわからない。韓非子は人間は「利」によって動くとした。彼の行動の「利」がわからない。わかりやすい良い本でしたがそのあたりを調べてみたいと思った。義理人情じゃないし志しでもないと思うぞ😆 2021/06/06
北風
31
初韓非子。究極の現実主義者が書いた権謀術数の書というイメージでしたが、想像してた以上でした。たしかに利口な生き方かもしれないけど、幸せな生き方かなあ???2016/02/03
おせきはん
27
韓非の生き方、考え方について、わかりやすくまとめられています。韓非が生きた時代と現代では状況は異なりますが、法に基づくとはいえ、王が法と術を一手に握り国家を支配する体制は、支配される側としては恐ろしくも感じました。2021/05/04
Kouro-hou
27
法家思想の大成者、中国戦国時代の韓非さんのありがたい書のビギナー向け抄訳解説。原文読み下し文も有り。コレ人間が実践できる生き方なのか、というシビアでハードでディストピア的な部分のある思想ですが、韓非子の生涯も解説されており、隣が秦&始皇帝の弱小国の王族となると富国強兵の全体主義になる状況はわかる。亡国は悲惨。国のために正しい意見を通そうとしても、一歩間違えると文字通り首が飛ぶ時代。韓非子自身がゲームの選択肢ミスみたいな最期ですし。それでも君子無き時代を国として生き抜くために、という悲壮感は伝わってきます。2018/10/18
Itow Akira
11
上司のための本でもあるし、部下のための本でもある。 「利」によって動く人間の行動をよく捉えている。2016/06/13
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