角川文庫 角川ソフィア文庫<br> 学校の怪談―口承文芸の研究〈1〉

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角川文庫 角川ソフィア文庫
学校の怪談―口承文芸の研究〈1〉

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  • サイズ 文庫判/ページ数 234p/高さ 15cm
  • 商品コード 9784043649013
  • NDC分類 388.1
  • Cコード C0139

内容説明

誰もいない音楽室から流れてくるピアノの音。真夜中の校内を歩き回るガイコツ模型。さまざまな怪異が語られるトイレ空間…。活気に満ちた昼間の学校も、子どもたちの下校後は不気味な様相をおびた闇の空間を演出する。異界への想像力をかきたてる場といってもよい。児童・生徒の間で語られる怪談や不思議話は、つねに彼らをとりまく現代を映し出しながらも、同時に、類型的な口承の伝統のなかに息づいている。従来、あまり注目されなかった子どもたちのうわさ話を、民俗学的な手法を用いて研究の俎上にのせた意欲作。

目次

第1章 学校の怪談(よみがえる民俗的感覚;トイレと怪異;特別教室と移動教室 ほか)
第2章 現代のハナシ(予兆譚と事実;異人殺し伝承譚の創造;ハナシの変容と現代性)
第3章 笑話と世間話の背景(笑話の主人公;世間話の担い手;ツッパリと学級共同体)

著者等紹介

常光徹[ツネミツトオル]
1948年、高知県生まれ。国学院大学卒業後、都内の公立中学校教員となる。現在、国立歴史民俗博物館民俗研究部助教授
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

やんも

13
興味を惹かれたのは、色々な世間話を聴き集めては人々に披露し、それを呼び水に新たな世間話を聴き集めて他の場所で話す「世間話の担い手」の存在。旅回りの商売人や、地域で人気の話者などがそれにあたるが、それは怖い話、奇妙な話に特化した怪談師たちに通じるものがあるように思われる。彼らが語るのは実際にあったとされる体験談であり、それは地域や時代に密着し、そのため聴衆に現実感を与え、恐怖を共感する場を作る。かくして怪談は広く伝播し、あちこちで新たな怪談を呼び起こすのである。2017/03/20

ペペロニ

10
学校の怪談ってとても良い響きだと思う人はきっと沢山いるはず。トイレの非日常性という話はとてもしっくり今でも来るところが面白い。なぜか1番気に入ったのは最後のツッパリの話。2019/08/01

mittsko

8
1993年2月、ミネルヴァ書房より刊行された原著をまず読んだ 原著の第一部「世間話」を収めたのが本書(一部改訂、第二部「昔話」中の一篇が編入) 「学校の怪談」は第一章で、第二章「現代のハナシ」、第三章「笑話と世間話の背景」とつづく 口承文芸ないしは民話の広い世界のなかで、昔話や伝説、俗信とは異なる範疇としての「世間話」のなかに、「学校の怪談」をおいて理解しようという構成 ※ 現代の怪談実話/実話怪談の盛り上がりが始まった冒頭時期に公刊された原著… もはや古典となった一冊を文庫で読めるのは実にありがたい2023/08/19

へくとぱすかる

7
オリジナルは400ページ以上。文庫版は抜粋なのだが、それすら新古書店になかなか出回らない。やっと読むことができ、読書メーターに登録しようとしたら、何と、原本の復刊がおととい(!)出たことを発見してしまった。何だかもったいないなぁ。2013/09/22

シャル

7
民俗学の観点から学校の怪談の成り立ちを説き明かしていく。伝承と闇の中に生きてきた古き妖怪から、学校という閉鎖空間に生まれた新たな妖怪への移り変わりの図式が見えてくるのも興味深い。都市伝説もまた、古き伝承の進化した姿なんだなあ。2010/12/04

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