内容説明
今から六十年前に帝国陸軍が村に配備した九六式カノン砲。あの日村が滅びたことを子どもたちは知らない。戦後、村は沖縄で一番豊かな地区に復興を遂げた。村を守るのは巫女のマカトオバァを中心とした老人三人組。しかしある事件をきっかけに村はまた破滅の道を歩み始める。未来を託されたのはマカトの孫の雄太を中心にした子ども三人組だ。果たして村を救うことができるのか?復帰世代の作家が描いた希望と再生の物語。
著者等紹介
池上永一[イケガミエイイチ]
1970年生まれ、沖縄県石垣市出身。94年、早稲田大学在学中に『バガージマヌパナスわが島のはなし』で第6回日本ファンタジーノベル大賞を受賞する。98年には『風車祭(カジマヤー)』が直木賞候補になる。沖縄の伝承と現代が融合した豊かな物語世界を確立し、注目を集める(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
翔亀
35
【沖縄24】著者6作目の作品。今度は沖縄戦だ。なので舞台は沖縄本島。米軍の攻撃によりほぼ全滅した村を復興させた3人の男女の三世代(親-孫)の物語。とはいえこの作家のこと、この三人の一人は、村の支配者となるノロ(巫女)、もう一人は資金調達者といえば聞こえがいいが盗人、もう一人は海人だがじつは。。。そして、ノロひいては村人が崇める神は、キャノン。つまりグスク(琉球王国以前の城塞のことだが、聖域説が近年有力)に鎮座する九六式カノン砲だ。村はキャノンという神のもとで、謎の資金源により潤う楽園となったが、様々な↓2021/11/16
はらぺこ
27
B級映画とかコメディー映画みたいなノリで進んでいくけど、そこには沖縄戦というテーマが隠されてる。 スベってたり、話がチグハグしてるように感じるのは計算された上での事やと思うのですが自分には合いませんでした。でも、たまに美奈が相手にされなかったりするのは笑った。2017/04/08
ぺぱごじら
21
テンプレ通りの南国沖縄らしい幕開け早々『祟りじゃ!』と叫ぶオババの声。村の仕組みがわかるまでの100ページ程は中々進まなかったが、中盤以降の展開の早さに捲られるように読みきってしまい、自分には割と珍しいことに間を置かずに二回読みしてしまった。清も濁も純も俗も、なんの矛盾もなく並立している『人間くささ』がたまらなく好きだ。『お帰りなさーい』には、少し胸の奥がぎゅっとやられた。2013-1752013/11/09
活字スキー
16
ハチャメチャな池上節を利かせつつ現在とあの夏の沖縄を行き交う、切なくも温かい物語。「片腕マシンガール」ならぬ「片腕フックじじい」が超カッコいい。夏休みの読書感想文にもピッタリ。たぶん。
miroku
11
オバァがパワフル。しかし、池上作品の女たちは、なんとエネルギッシュなのだろう。2010/11/12
-
- 和書
- ギリシア彫刻の見方