内容説明
石垣の前には度々幽霊が立っていた。お化け屋敷と噂される旧い生家で起きたこわーい体験。母のトンデモ教育法に対抗して身につけた強かなチカラ。美しすぎる星空、エメラルド色の海、極彩色の祭りや行事の中で著者は、ポップなオカルト少年に成長していく。少年のダークでピュアな感受性ゆえに引き出された、知られざる沖縄ワールド!と共に「閑居な作家」の青春と日常を初めて開示した破格エッセイ。
目次
1 キッズ・ア・オールライト(孤児院と幼稚園;犬猫が取り持つ縁 ほか)
2 青春とはなんだかんだ?(どろどろバレンタイン;プーさんの蜂蜜 ほか)
3 家族の肖像(大密貿易時代;昔話は時効成立 ほか)
4 オキナワン・ライフ(ソーキ汁と中身汁;太陽と月の時間 ほか)
5 閑居な作家(ただいま修行中;麗しの愛人ラーメン ほか)
著者等紹介
池上永一[イケガミエイイチ]
1970年、沖縄県石垣市出身。94年、早稲田大学在学中に「バガージマヌパナス」で第6回日本ファンタジーノベル大賞を受賞する。98年には『風車祭(カジマヤー)』が直木賞候補になる。沖縄の伝承と現代が融合した豊かな物語世界が注目を集める(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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mocha
54
どこまで本当だか。沖縄返還当時の思い出や、石垣島独特の風習についての話は面白かったけど、全体として悪ふざけ感が前面に出てて合わなかった。これ、お母さん読んだのかな。ちょっと気の毒になるような書かれよう。琉球人としての誇りはとても感じ取れた。2023/07/10
chatnoir
22
1章目で挫折するかと思った!!沖縄で育った著者はどんなエッセイを!?地域差は!?美味しい食べ物は!?とか思いながら読んだら、挫折する。いっそ飛ばして2章から読むと良いかも。時代的に最後のお姫様だった祖祖母さんのお話が良かった。感性的には...テンペストを書きそうな方という感じ(笑)そういえば、果物の話も面白かった。パイナップルは物凄く暑い日の翌日に収穫した物、マンゴーは7年位の樹齢のものから採集したもの、パパイヤはおかまの木から(笑)2019/12/20
そふぃあ
17
幼少期の話が面白かった。やっぱり熱帯がマジックリアリズムを生み出すのだろうか。「行く」と「来る」の主体と客体が曖昧なのが、能登の方言と同じでびっくりした。別の地方にも同じような方言が探せばあるんだろうなと思った。2019/11/15
yuki
17
石垣島で過ごした濃密な子供時代。やはり沖縄は本土とはまるで違う。そんな昔の話ではないのに、それはどこの国のいつの時代のはなしなのかわからなくなる、独立した文化があるんだなあ。お母さんがかなりダークですごいです。子供のときからひねくれている池上さん。こんな環境で育った池上さんにしかかけない小説をこれからも楽しみにしています。2014/09/16
ダグラスまま
12
池上永一さんエッセイ。意地悪思考は幼稚園時代からだったんですね。面白かったです。サンタが金持ちドラ息子をえこひいきする話、97歳風車祭の話もよかった。「学校の課題図書は、本のグルメを標榜する僕にとっては残飯同然。ぼくは高級路線、心の肥満児」って!!笑)池上永一さんのひねくれ感が存分に伝わる文章ですね。わたしも同感です。あっぱれです。また最新エッセイが出るといいなぁ。2013/07/18