内容説明
江戸郊外のとある廃屋に、いつのまにやら棲みついていた1匹の妖怪、豆腐小僧。豆腐を載せた盆を持ち、ただ立ちつくすだけの妖怪である自分は、豆腐を落としたとき、ただの小僧になるのか、はたまた消えてしまうのか―。思い悩んだ小僧は、自らの存在理由を求めて旅に出る!軽快な講談調で、小僧が出会う鳴屋や死に神、鬼火との会話の中から現れてくる妖怪論。妖怪とは、いったい何なのか?妖怪入門としても必読の痛快作。
著者等紹介
京極夏彦[キョウゴクナツヒコ]
小説家、意匠家。1963年北海道生まれ。94年、かねてよりアイデアを温めていた妖怪小説『姑獲鳥の夏』で小説家デビュー。『魍魎の匣』で第49回日本推理作家協会賞、『嗤う伊右衛門』で第25回泉鏡花文学賞、『覘き小平次』で第16回山本周五郎賞、『後巷説百物語』で第130回直木賞を受賞。様々なジャンルで読者を魅了し続けている(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
kaizen@名古屋de朝活読書会
212
元豆腐屋に住み着き、紅葉豆腐をお盆の上において両手で持ち,笠をかぶっている妖怪の小僧。恐怖小説なのか幻想小説なのか。読み進んでも中々分からない。江戸物らしい持って回った言い回しが諄いと思うか心地よいと思うか。魑魅魍魎の魑(すだま)魅(おに)の読みを知った。いろいろ趣向があり,楽しめる。解説,市川染五郎。狂言、歌舞伎でも取り上げた豆腐小僧。癒しだと書いているので幻想小説なのだと納得。繰り返し妖怪は人間が意識することによって生まれると繰り返している。講釈が好きなのだと理解。達磨、轆轤首なども登場。発見角川。2013/09/02
優希
94
豆腐を持っているだけの子供の妖怪、豆腐小僧。色々な妖怪と出会ったり別れたりしながら進む道中記が面白かったです。落語口調の語りでユーモアがあるし、豆腐小僧のお馬鹿っぷりが可愛い。愛くるしい豆腐小僧と滑稽達磨、三毛猫姐さん、袖引き小僧などの妖怪との掛け合いが楽しいです。それでいながら、妖怪、存在、死といった哲学的なことを色々考えさせられる作品でもありました。豆腐小僧の自分探しの旅を通して妖怪論を語ろうとしたのでしょう。豆腐小僧も少し成長し、また旅は続くようです。滑稽な展開で面白かったです。2016/01/03
gonta19
84
2010/10/24 アミーゴ書店Blumer神戸店にて購入。2016/4/4〜4/136年ものの積読本。豆腐小僧シリーズ第一弾。浅学にも豆腐小僧という妖怪は知らなかったが、魅力的なキャラクターに仕上げてきたなぁ。読めば自然と妖怪や幽霊の概念について詳しくなれるのも良い。続編も楽しみだ。2016/04/13
はらぺこ
84
妖怪はジョジョのスタンドみたいなモンと理解しながら読んだ。 禅については『鉄鼠の檻』を読んで解った気になってましたが、相変わらず難しかったです。それ以外にも難しい所は少々有りましたが、豆腐小僧が滑稽で全体的にほのぼのしてました。後半に袖引き小僧が出てからは更にほのぼのしてました。 市川染吾郎の解説「僕の豆腐小僧」も良かったです。でも、「解説」より「文庫特典」とか「付録」ってした方が合う気がします。2013/02/20
ぶち
78
私は誰? ここは何処? なぜ豆腐を持っているんでしょうか? 『京極夏彦の妖怪えほん』で見せてくれたあのお茶目なビジュアルで、一番恐くない妖怪の豆腐小僧が、自らの存在理由を求めています。人間の側から見れば、妖怪やら幽霊やらを人は何故見てしまうのでしょう?京極先生、語りに語ってくれます。それはもう妖怪哲学です。ユーモアたっぷりな哲学で、ずーと笑ってばかりです。でも、先生、力が入り過ぎたんでしょうか、700ページ超えという大ボリューム。冗長な説明を割愛して、せめて500ページくらいにしてくれれば....2024/05/19