内容説明
福井県西端の新興港湾都市・海市。大陸の動乱を逃れて大量の難民が押し寄せ、海市は中・韓・露のマフィアが覇を競う無法地帯と化した。相次ぐ現場警官の殉職に業を煮やした市警の一部が地下組織を作り、警官殺しに報復するテロ組織が誕生した。警官の警官による警官のための自警団。彼らは「P」と呼ばれた―。第5回大薮春彦賞を受賞した、著者渾身の最高傑作。
著者等紹介
打海文三[ウチウミブンゾウ]
1948年生まれ。早稲田大学政経学部卒。93年、『灰姫 鏡の国のスパイ』が第一三回横溝正史賞優秀作となる。翌年発表した『時には懺悔を』が各方面で絶賛される
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
UK
32
ハードボイルド調の警察モノというか、近未来SFというか。いずれも暗いものを背負った人間たちの陰影に満ちた濃密なドラマ。独特の乾いた文体と語り口は好き好きは分かれそう。人物描写も外側から行うし、まとまった時間をとって一気に読まないと、弾かれて振り落とされるかもしれない。スケールの大きな大作だが、いかにもハードボイルドな登場人物たちにちょっと疲れて読了。2015/03/03
ken_sakura
29
とても面白かった♪( ´▽`)映画「ユージュアル・サスペクツ」を思い出した。登場人物が虫けらのように死んでいくハードボイルド。周辺の登場人物に視点を置く間接描写、沢山の登場人物、約20年の時間軸、架空設定の日本と、著者の気合いが入り過ぎて複雑になってしまった感じの物語(^◇^;)物語の口火を切る石川ルカの問い、「洪孝賢とは何者なのか?」、早い段階で複雑さを感じて、論点をこれ一点に絞って読んだ。結果、上手に楽しめたと思う(^-^)/初めて著者の本を読んだ。薦めてくれたおもしろ本棚の先輩に感謝。2015/12/05
じゅむろりん
23
福井県西端の架空の「海市」で警察官僚・下級警官・マフィア・警視庁捜査員らがホテル「ハルビン・カフェ」でお互いの欲望と宿命をぶつけあい交錯するハードボイルドもの。話は現在と過去が入り乱れ、多くの人物が絡み合い動じ進行していくので、半分ほど読んだところで、ルーズリーフに事件と人物相関図をまとめ直し、整理しながら後半へ…。「応化クロニクル」の世界観をそのままにスリリングに展開するクライマックスは一気読み。独特の文体と悲哀を含んだキャラクターの作り込みのうまさに脱帽!やっぱ打海氏すげ~。2015/08/12
RIN
19
読み出したら止まらなくなった。ガチガチのハードボイルドだ。善悪や正義、欺瞞の価値基準が絶対のものでないことを思い、どこかしら感情移入してしまった。ハードボイルドだからなのか、男の世界だ。今まで接したことのない世界観に衝撃を受けた。2005/05/06
珂音
16
とある事件に係わった人たちのエピソードの寄集めはジグソー・パズルを組み立てていくような趣がある。2010/10/04